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「チームをないがしろにするつもりは少しもない」日本人学生記録を持つ、最速世代の箱根駅伝への執念と覚悟

posted2024/11/20 10:00

 
「チームをないがしろにするつもりは少しもない」日本人学生記録を持つ、最速世代の箱根駅伝への執念と覚悟<Number Web> photograph by Yuki Suenaga

第56回全日本大学駅伝で7区区間賞の走りを見せた駒澤大学・篠原倖太朗(4年)

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和田悟志

和田悟志Satoshi Wada

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Yuki Suenaga

 記録とは、塗り替えられるためにあるのか──。

 今、陸上競技・長距離のほとんどの種目において、日本人学生歴代最高記録を持っているのは現役の学生だ。現在の主な長距離種目の記録は以下の通りとなっている。

室内5000m 佐藤圭汰(駒澤大学3年) 13分09秒45(室内日本記録)
屋外5000m 篠原倖太朗(駒澤大学4年)13分15秒70
10000m 前田和摩(東京農業大学2年)27分21秒52
ハーフマラソン 篠原倖太朗(駒澤大学4年) 1時間0分11秒
マラソン 平林清澄(國學院大學4年) 2時間6分18秒

 今年は特に記録ラッシュだった。これらのうち、篠原のもつハーフマラソンを除く4種目が今年2024年に記録されたものだ。もちろんシューズなどのギアの進化の影響も大きいが、それを差し引いても高水準の記録だ。

 ちなみに、“日本人学生記録”としたのは、日本学生陸上競技連合が定める“日本学生記録”には留学生の記録も含むからだ。平林のマラソンの記録は日本学生記録だが、5000m、10000m、ハーフマラソンおよび20kmの日本学生記録は、東京国際大学2年のリチャード・エティーリが持っている。エティーリもまた現役の学生ランナー。日本人選手にとっては、身近にある“世界”だ。
(*なお、箱根駅伝を主催する関東学生陸上競技連盟は、関東学生記録には留学生の記録は含めず、関東学生国際記録と別扱いにしている。)

2区に各大学のエース格が揃った時代から…

 箱根駅伝のエース区間といえば、“花の2区”と称される通り、2区に各大学のエース格の選手が集う傾向がある。実際に、2区を走った選手から最も多くのオリンピック選手が誕生している。

 ところが、彼ら日本人学生記録保持者のうち、2区の経験者は、今のところ平林ただひとり。これはチーム事情によるところが大きいが、箱根駅伝は10区間それぞれでコースの特徴が異なるゆえ、以前に比べて、より選手の特性に合った区間配置がなされるようになったのも事実だろう。

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