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核心にシュートを!BACK NUMBER
「まぁ結果論なので」じつは田中碧と町田浩樹が、中村敬斗を生かす「工夫」を…ただそれが日本代表の課題でもあるワケ〈オーストラリア戦深層〉
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byKiichi Matsumoto
posted2024/10/21 17:01
遠藤航に代わってオーストラリア戦で先発した田中碧。後半に入って町田浩樹とともに実行した「工夫」とは
本来であれば田中をケアすべきなのは相手の右ボランチだが、前半から中央のエリアにとどまっていた。ならば、田中がポジションをズラしてもついてこないこともわかっていた。となれば、オーストラリアは守備時に〈5-4-1〉の右MFに入るアルディン・フルスティッチが田中をケアしてくるべきだが……。
「相手のシャドー(フルスティッチ)が自分につきたくなくて、途中からマチくん(*町田)に行くのが見えていた。(谷口)彰悟さんが持った時には相手のシャドーの裏で受けることもありました。逆に、マチくんにボールが入った時には自分が張ってみました。もしシャドーが自分についてきたら、自分が中に入ってウイングバックへのパスコースを開けたり。臨機応変にできることもあるので」
町田が話していた「アオとの工夫」とは
町田もこう話していた。
「相手のシャドーが僕に対して、結構プレスをかけにきていた。なので、アオを落として、僕はちょっと内側で受けて、というのは工夫してやっていたんです」
後半開始時からの修正で、最終ラインから左ウイングバックへボールが出やすくなり、シ左サイドで数的優位のシチュエーションを作れるようになった。 実際、左サイドでのドリブル突破から相手のオウンゴールを誘った中村敬斗もこう話していた。
「僕が外に高い位置で張って、そこに田中選手が誘うというか、脇の部分に落ちてくる動きは練習からやっていた。僕らのやりたいサッカーでもあるんで、それがうまく表現できたかなと思います」
田中の発言に見る“日本代表の課題”とは
最終予選が始まってからサブ組として練習を続けてきた彼らだからこそ、共有できる感覚があった。それでも試合後、視座の高い田中はこう言って悔やんだ。
「前半のうちから左に落ちて、より高い位置に行く方が良かったかな。まぁ結果論なので……それを次に生かせたらいいかなと思います」
田中の発言は、現状における日本代表の構造的な課題を示している。