F1ピットストップBACK NUMBER

「僕がいなくてもF1は続く」フェルスタッペンがFIAの言葉狩りに引退覚悟で徹底抗戦…ドライバーにとっての最優先事項とは?

posted2024/09/27 17:01

 
「僕がいなくてもF1は続く」フェルスタッペンがFIAの言葉狩りに引退覚悟で徹底抗戦…ドライバーにとっての最優先事項とは?<Number Web> photograph by Getty Images / Red Bull Content Pool

2位となったシンガポールGP決勝後の会見で、言葉も笑顔も少なかったフェルスタッペン

text by

尾張正博

尾張正博Masahiro Owari

PROFILE

photograph by

Getty Images / Red Bull Content Pool

 事の発端は、シンガポールGPの直前にイギリスのautosport.comが掲載したFIA(国際自動車連盟)のモハメド・ビン・スレイエム会長へのインタビュー記事だった。その中で、スレイエム会長は、レース中に放送されるドライバーからの無線で不適切な言葉が横行していることを憂慮。悪態が放送されるシーンを最小限に抑えるよう、F1の中継を行うフォーミュラワン・マネジメントに要請していたことが判明した。

 その直後、木曜の公式記者会見に出席したマックス・フェルスタッペンが、放送禁止用語である「Fワード」を用いた暴言を吐いた。ただし、これはスレイエム会長に対しての発言ではなく、前戦アゼルバイジャンGPで不調だった理由を尋ねられたことに対する、「マシンがF×××だったから」という返答だった。

 レースの中継は無線を検閲するために時差を設けていて、不適切な発言は「ピー音」で消されるのだが公式会見ではそれがなく、フェルスタッペンの発言はそのまま流れてしまった。翌金曜日、シンガポールGPのスチュワード(レース審議委員会)は、国際モータースポーツ競技規則に違反したとして、フェルスタッペンに社会奉仕活動を科す処分を下した。フェルスタッペンは2018年のブラジルGPでもエステバン・オコンに対し暴力的に振る舞ったとして、2日間の社会奉仕活動への従事を命じられた過去がある。しかし、今回の決定には納得しなかった。

「ペナルティは馬鹿げている」

「だれだって悪態をつく。僕は他の人よりも少し多いかもしれないけど、他のスポーツではマイクを付けた状態でプレイすることがないだけで、アドレナリンが溢れ出ているときに多くの人が多くの悪態をついていると思う。無線の内容はチームだけが知ればいいことで、そうすれば、すべての問題は解決できる。テレビは盛り上げるためにドライバーの言葉を面白がって使い、SNSで拡散させる者がいる。それなのにドライバーにFワードの使用を制限させるって、なんなんだよ。僕たちは5歳児か6歳児なの?」

 土曜日の予選で2番手となったフェルスタッペンは上位3名が出席するFIAの会見に出席し、すべての質問に対して最低限の言葉だけで回答。FIAの言葉狩りに対し抗議の姿勢を見せた。そして、「質問に対する答えが必要なら、別の場所でもインタビューはできる」と語り、FIAが監視する会見場を出てから取材に応じた。

【次ページ】 誰のための規則なのか

1 2 NEXT
マックス・フェルスタッペン
レッドブル
モハメド・ビン・スレイエム
ランド・ノリス
ルイス・ハミルトン

F1の前後の記事

ページトップ