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空力の鬼才エイドリアン・ニューウェイが来季アストンマーティン入り! 輝かしきキャリアで再認識する近代F1への貢献度
posted2024/09/19 11:03
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph by
Getty Images
当代きっての天才デザイナーの去就がついに決定した。9月10日、アストンマーティンが、2024年シーズンをもってレッドブルを離脱するエイドリアン・ニューウェイを、25年3月1日からマネージングテクニカルパートナーとしてチームに迎え入れることを発表。これにより、F1は新たな時代に突入することとなる。
イギリス・サウサンプトン大学の航空宇宙工学科でレーシングマシンにおけるグラウンドエフェクトを研究したニューウェイは、大学卒業後の1980年、小規模チームのフィッティパルディでF1のキャリアをスタートさせた。その後マーチに移籍し、F1以外のレーシングマシンやインディカーのプロジェクトにも参画。ニューウェイが手掛けたマシンは、84年から87年までインディ500を4連覇した。
ニューウェイが本格的にF1マシンのデザインに携わったのは88年。ターボ・エンジン全盛だった当時、多くのマシンが強力なエンジンパワーでストレートスピードを上げていく中、ターボ・エンジンを入手できなかったマーチは、馬力で劣る自然吸気エンジンで対抗するしかなかった。しかし、ニューウェイが手がけたマーチ881は空力に優れ、空気抵抗が少なく、かつコーナーで速かった。日本GPでは、イワン・カペリが駆るマーチ881が、16戦15勝でシーズンを席巻したチャンピオンマシンであるマクラーレン・ホンダMP4/4をシケインの立ち上がりでオーバーテイクしたこともあった。
「優勝請負人」伝説の始まり
その才能に目をつけたウイリアムズが90年にニューウェイを獲得。アクティブサスペンションなどのハイテクシステムを導入したウイリアムズFW14Bは、空力の天才ニューウェイによる洗練されたデザインをまとって最強マシンに進化し、92年に王座奪還に成功する。そして、ここからF1とニューウェイの伝説が始まる。
ウイリアムズ時代に4回のドライバーズチャンピオン(92、93、96、97年)と5回のコンストラクターズチャンピオン(92、93、94、96、97年)獲得に大きく貢献したニューウェイが、次に手がけたマシンはマクラーレンだった。マクラーレンで最初に手がけたMP4-13は、98年の新しいレギュレーションの下でデザインされたものだった。この年、F1は安全性を高めるために車幅が狭くされ、タイヤもスリックから溝つきへと変更された。多くのチームが新ルールへの適合に苦しむ中、ニューウェイのアイデアが反映されたMP4-13はいきなりチャンピオンシップ争いを展開。フェラーリのミハエル・シューマッハとの激戦を制して、マクラーレンに7年ぶりのタイトルをもたらした。