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ヤクルト青木宣親と大のスワローズファン尾崎世界観の異色対話…メジャーで感じた「数字の力」尾崎の疑問「人の数字が気になることは?」
 

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青木宣親×尾崎世界観

青木宣親×尾崎世界観Norichika Aaoki & Sekaikan Ozaki

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photograph byMiki Fukano

posted2024/09/12 11:06

ヤクルト青木宣親と大のスワローズファン尾崎世界観の異色対話…メジャーで感じた「数字の力」尾崎の疑問「人の数字が気になることは?」<Number Web> photograph by Miki Fukano

偉大なヒットメイカー・ヤクルトの青木宣親(左)と大のスワローズファンでミュージシャン・作家の尾崎世界観の異色対話『青木世界観』が実現した

「マネーボール」の原作が出版されたのは2003年で、「打率が多少低くても、出塁率が高い選手を獲る」という場面があったと思いますが、20年以上経った今ではもっと細かい数値で分析していると思います。今の流行りで言えばバッターは「打球速度」や「打球角度」が重要視されていて、そうなると打球速度を上げるためのトレーニング方法とか、打球角度をつけるためのマシンもたくさん出ているんですよ。

 メジャーリーグのチームが使っているとなれば商売に繋がるので、球団にもたくさん売り込みに来る。だからチームにはその種の器具がたくさん置いてあります。打球角度をつけるために、斜めに置いた板の間からボールを打つ練習のための道具とか、本当にありとあらゆるものが揃っていて面白いですよ。

 求められる「数値」があって、じゃあそこに届くにはどうしたらいいか、ということで色々なものが広がっていく。もちろんドラフト戦略にも関わっていくわけですか ら、アマチュアの選手たちもそういう最新のトレーニングで力をつけてくるわけです。 僕の大学時代みたいに「自分の正面にネットを置いて左側に打つ」なんてそんな感じじゃない(笑)。そのあたりは本当に時代の変化を感じますね。

「ゴロの打ち方」を知らない選手も…

 ただ、それはもちろんいいことばかりじゃなくて、懸念材料もあると思います。例えば今のアメリカは「ランナー一塁で、ホームランを打って2点」みたいな野球になっていますよね。点の取り方としては結局、ランナーが出たらドカーンと2、3点 というような形。1点を取りにいくという野球は時代遅れだという印象です。となれ ばバッターとしては全体的に「ホームランを打ちたい」となってくる。打球角度を上げることを目指せば、ゴロを打ちにいこうとする選手は減ってきます。これからは「ゴロの打ち方」を知らない選手も出てくるのかなと思ったりします。

 あるいは、数値や数字が目の前にあってそれを上げるための機器やトレーニング方法が山ほどあれば、自分で練習方法を考えたり試行錯誤したりすることが苦手になってしまう。考える力がなくなってくると、また違った弊害が出てくるんじゃないかなと思うんです。去年、ダルビッシュ有投手がテレビのインタビューの中で「昔は分からないところから問題を解いていくものだったのが、今は問題集のように解き方が横に書いてある。野球がつまらなくなってしまうんじゃないか」というような話をしていたけれど、そういった思いは僕も凄く理解できますね。

話せば話すほど面白いダルビッシュ

 余談ですけれど、ダルビッシュは本当に面白いですよ。メジャー時代から家族ぐるみで付き合いがあって色々な話をしたんですが、野球に対する考え方とか人間的な面でも凄く気が合います。

 オタク気質で、栄養学や野球の知識、データとか何から何まで知っている。かといって、堅物かといえば凄く柔軟な考え方を持っていて情が深いところもある。話せば話すほど本当に面白い人間です。

【次ページ】 尾崎世界観の視点「数字で評価されることに戸惑う部分は?」

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