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ヤクルト青木宣親と大のスワローズファン尾崎世界観の異色対話…メジャーで感じた「数字の力」尾崎の疑問「人の数字が気になることは?」
 

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青木宣親×尾崎世界観

青木宣親×尾崎世界観Norichika Aaoki & Sekaikan Ozaki

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photograph byMiki Fukano

posted2024/09/12 11:06

ヤクルト青木宣親と大のスワローズファン尾崎世界観の異色対話…メジャーで感じた「数字の力」尾崎の疑問「人の数字が気になることは?」<Number Web> photograph by Miki Fukano

偉大なヒットメイカー・ヤクルトの青木宣親(左)と大のスワローズファンでミュージシャン・作家の尾崎世界観の異色対話『青木世界観』が実現した

 話は逸れましたが、アメリカ発の大きなうねりは今、日本のプロ野球にも変化を生み出していて、数字や数値の見方というのはさらに変わっていくのではないかと思っています。そもそも、ファンの野球の見方も変わるんじゃないかな。今後はさらに「打球速度が」とか、「今のは3000回転あるスライダーだから」とか、見る方もそんな視点になるのかもしれない。解説者もライブで数値を読み解ける分析力が必要になってくるでしょう。

 監督やコーチの仕事も変わっていきますよね。データで選手を集めて、統計学的に当てはめて起用をしていって......。そうなれば采配も何もないですよね。ただ逆に、数字の罠に引っかかるパターンもあるかもしれない。一周回って20年後、30年後に、昔ながらのトリックプレーとかサインプレーに引っかかっちゃう選手が続出するなんてこともあるのかもしれませんね。

尾崎世界観の視点「数字で評価されることに戸惑う部分は?」

 最近野球中継を見ていると、かつてはなかったようなデータが画面に表示されていることに気づく。その選手がいかに凄いか、ということを示す数値に興味を惹かれる部分もあるが、一方でその画面表示が少し(うるさ)

 

 

(いと感じる部分もある。自分はただひたすらヤクルトスワローズというチームが大好きで、基本的には野球を見るイコール、スワローズを応援しているということになる。「この選手がこんなに凄い」とか「こんな数値を出せる」ということを理由に、ヤクルト以外のチームの試合を見るという感覚がないのだ。

 一方、自分の仕事については、事細かな数字をいつも気にしている。自分自身の色々なことが数値化され、それが日々変わっていくなんて凄いことだと、かえって楽しんでいる。

 数字は常に上がったり下がったりするけれど、ミュージシャン自身には分からないところでふわっと変動していくこともある。急に売り上げやライブの動員が落ちた、同じような曲を出しているのになぜかこの曲だけ聴かれていない、MVの再生 数が少ないなど......。時にはいくら考えても理由が分からないこともある。

 一般社会の中でもこういう「ふわっとした」部分は大きくて、数字の絶対評価だけで物事が決まるわけではない。あの人、頑張っているな、とか、あの人は好きだから、といった理由で社内で出世することだってあるだろう。

 野球選手はそのあたりもシビアだ。評価は数字に直結するし、また自分の失敗が相手の成功になる、という裏表の部分も持っていたりする。何で上がったのか、何で下がったのかがハッキリ分かるから明確でありがたい部分もあるけれど、一方でそれが大きなプレッシャーにもなるだろう。

 青木さんは数字で評価されることに戸惑う部分もあったりするのだろうか。あるいは自分ではなく人の数字について、気になったり比べたりしてしまうこともあるのだろうか。

<続く>

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#3に続く
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