核心にシュートを!BACK NUMBER
「大人になった」「前はイライラしたけど」久保建英と堂安律の成熟は取材エリアでも「純也くん!純也くん!!」笑いを取る伊東純也の後ろで久保は…
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byKiichi Matsumoto
posted2024/09/08 17:00
堂安律と久保建英。個の力を持ちながらも連動ができる右サイドは、日本代表史に残る攻撃力となり得る
「(中国の選手がプレッシャーをかけに)2人が来ました。僕が無理に突破するよりも、フリーの堂安選手にチョンとボールをつけられた。あれはソシエダでブライス・メンデス選手とやっているのと全く同じ形です。僕の特徴の1つとして、相手を引きつける力があると思う。『(味方が)あまり寄り過ぎずにああいうところで待っていれば、フリーで受けるチャンスがあるよ』と今日はみんなもわかってくれたかなと思います」
左サイドは薫くんの突破力。では右サイドはどうする?
あれは右サイドで並ぶ久保と堂安のコンビネーションから生まれたゴールなのだが、そこには明確な意図があった。
「左サイドには(三笘)薫くんという強力な個があるので……」
逆側では三笘が独力突破で崩せる。では、自分たちが任される右サイドはどうすべきか。堂安もこう証言している。
「連係を出し、(左サイドと)違う形で攻めていくというのは、チーム戦術として落とし込んでいるところがあるので」
アジアカップ途中で伊東純也が代表を離れてから、彼の不在を嘆く声は多かった。
「三笘と伊東――両サイドに槍(やり)のように単独で突破できる選手がいないと日本は世界で戦えない」
伊東という仲間の復帰を待ちつつも、別の形でも日本代表を前に進めさせることができる。彼らがそのように闘志を燃やしていたのは想像にかたくない。
ただ、このゴールが中国戦のハイライトである理由は他にもある。
右ウイングバックの堂安が、左ウイングバックの三笘のゴールをアシストする形は、3バック採用の意義を象徴するものだったからだ。
現代表が取り組んでいる攻撃的3バックは、 4月に森保一監督がヨーロッパ視察で目にしたレバークーゼンの戦い方に着想を得たことから始まる。その後レバークーゼンを筆頭に、ヨーロッパの5大リーグで用いられている3バックをコーチングスタッフで研究。6月シリーズから採用したというストーリーがある。
そんなドイツ王者の強みの1つが両ウイングバックだ。昨シーズン、左ウイングバックのアレハンドロ・グリマルドは10ゴール13アシスト、右ウイングバックのジェレミー・フリンポンは9ゴール7アシストを記録した。サイドからのクロスに対して、逆サイドのウイングバックの選手が合わせる形――中国戦、堂安と三笘で奪ったものと同じ――から多くのゴールを決めていた。
だから、あのゴールは大きな意味を持つ。
活動時間が限られる代表チームでこうしたプレーが可能になったのは、堂安や久保が所属クラブでしっかりと成長してきたからに他ならない。
メカニズムだけでなく、2人の心の成熟が
ただ――それを可能にした、もう1つの理由をあげるとすれば、彼らの心の成熟だ。