核心にシュートを!BACK NUMBER
「大人になった」「前はイライラしたけど」久保建英と堂安律の成熟は取材エリアでも「純也くん!純也くん!!」笑いを取る伊東純也の後ろで久保は…
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byKiichi Matsumoto
posted2024/09/08 17:00
堂安律と久保建英。個の力を持ちながらも連動ができる右サイドは、日本代表史に残る攻撃力となり得る
「みんながライバルだと思っていますよ。でも……ライバルが活躍してくれないとね、こっちも困ります! そういうことが日本代表の強化に一番繋がるので。ただ、チームが苦しいときに自分がチームを救いたいなと常に思ってやっています」
ギラギラした野心は変わらない。でも、その意味合いが変わった。
夏の夜を彩る花火のように次々とゴールが生まれた中国戦は、彼らの成長を照らし出した。
若者特有の青さと焦りから来る野心は、ときに空回りを生んでしまう。
しかし、今の彼らが胸に秘めているのは、それとは別のもの。ヨーロッパの最前線で繰り広げられている競争を乗り越えるための健全なハングリー精神である。
大人になったが、むしろ、その情熱は増すばかり。彼らのサッカー人生が青い春から“熱い夏”にさしかかっている、というのはそういう意味だ。もっとも、収穫の秋を迎えるのはきっと、まだ先のことだろう――。
伊東純也が語った「純也くん! 純也くん!! 純也くん!!!」
なお、この試合の後半アディショナルタイム、最後のプレーについて伊東がこんな証言を残している。
「本当は自分で打とうと思ったんですけど、タケが本当に叫んでいて……」
ペナルティエリア内左サイドから右足を振りぬこうとしたのをやめ、伊東は急きょパスを選択。久保が決めたチーム7点目をアシストした。
判断を変えたのは、大量リードで迎えた試合最終盤のものとは思えない、熱い叫びが耳に飛び込んできたからだった。
「純也くん! 純也くん!! 純也くん!!!」
伊東の証言で取材エリアが笑いに包まれるなか、その後ろをクールな表情で通り過ぎていった選手がいた。
ピッチ上で見せる熱さを試合後のシャワーとともに洗い流してきた久保だった。
<日本代表継続レポート:つづく>