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<甲子園で決勝進出>甲子園出場“3回だけ”の新興校から「ドラフト指名3人」のナゼ《5年連続プロ輩出》京都国際高のナゾを追う「最初は部員を揃えるために…」
text by
沢井史Fumi Sawai
photograph byFumi Sawai
posted2024/08/22 17:02
15年前から京都国際高校の野球部を率いる小牧憲継監督。同校からは近年、5年連続でプロ選手が輩出されている
派手さはなかったが、小柄ながら抜群の守備力を誇った上野の動きを最後までチェックしていたスカウトも多かった。芯の強さもプロ向きと評価された上野の名は、じわじわと関西圏のドラフト候補生として耳にするようになった。
「甲子園よりもプロに行きたい」想いを秘めた選手の存在
さらに昨年のドラフトでDeNAから4位指名を受けた森下瑠大は「顕著な例です」と小牧監督は言う。
「森下がウチを志望したのは、プロのスカウトが普段から練習を見に来てくれると聞いたから、と言っていました。『甲子園よりもプロに行きたい』と1年生の時からきっぱりと言っていましたけれど、ピッチャーですし、『ある程度公式戦で勝たないと評価してもらえないよ』『こんな無名校を甲子園に連れて行くくらいやらんと』って言ったら“じゃあ僕が甲子園に連れて行きます”って、小さい声でボソッと言うたんですね(笑)。内に秘めるものは凄くて、プロに行くなら……とハッパをかけたら、ものすごくスイッチが入っていましたね」
京都国際に入学した当時のストレートのスピードは125km前後。「田舎の子なんで、強豪校に行っていたら圧倒されてたぶんベンチ入りも難しかったでしょう」と小牧監督が話すほど普段は目立った存在ではなかった。ただ、森下は鋭い感性の持ち主でもあった。
小牧監督は続ける。
「森下は自分に足りない要素を冷静に分析して自分で計画を立てて、僕がどうこう言わなくても自分で進んで練習していました。冬場の全体練習が終わると一目散に寮に戻ることもありましたが、自分に見合ったトレーニングをちゃんと考えて、これはやるけどこれはやらない、みたいに必要なことだけ取り入れることが当時からできていたんです。段階を踏んで成長してきたし、コイツはプロでも大成するなと思いましたね」