オリンピックPRESSBACK NUMBER
「実はチェコじゃなかった」女子やり投げ金・北口榛花(26歳)原点の国外遠征…高校時代から強かった“海外志向”きっかけは「北欧の投擲王国」
text by
和田悟志Satoshi Wada
photograph byRyosuke Menju/JMPA
posted2024/08/16 17:00
日本女子投擲界に初の金メダルをもたらした北口榛花。チェコでの武者修行が有名だが、実はその原点は別の国に…?
実は北口はチェコに至る前にフィンランドやドイツでも短期の合宿を敢行したことがあった。
フィンランドには男子やり投で2007年の大阪世界選手権を制したテロ・ピトカマキ、1999年のセビリア世界選手権でゼレズニーを破って金メダルに輝いたアキ・パルヴィアイネンといった選手がいた。
また、ドイツは東西分裂時代の東ドイツに、旧規格で100m超を投げたウベ・ホーン、女子では80mを投げたペトラ・マイヤー・フェルケといった選手が、やり投の歴史を変えた。近年は男子のヨハネス・フェッターとトーマス・レーラーが高いレベルで競っており、フェッターは世界記録にも肉薄した。
フィンランドとドイツもチェコに負けず劣らず、やり投の強豪国なのだ。
北口初の海外遠征となった国は…
北口は高校2年生でインターハイを制している。その冬に日本陸連のダイヤモンドアスリートの1期生に認定されると、陸連派遣でフィンランドに遠征し2週間の合宿を行った。これが北口にとっての初めての海外遠征だった。
そこでは1991年東京世界選手権の男子やり投の金メダリスト、キモ・キンヌネン氏のアドバイスを受けた。キンヌネン氏からは課題としてきた助走、特にやりを放つ直前のクロスステップの動きを指摘されたという。
陸上を始めてまだ2年足らず。
技術や知識をスポンジのように吸収していた時期で、自分よりも体格の大きい選手と練習を共にしたことも、かけがえのない経験になった。
高校3年生になると、コロンビア・カリで開催された世界ユース選手権で世界一に輝いた(ちなみに同選手権ではサニブラウン・アブデルハキームが男子100mと200mの2冠を成し遂げている)。
また、当時の北口には日本国内に強力なライバルがいたが、インターハイで連覇を達成すると、日本ジュニア選手権では高校新記録を打ち立てた。