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「実はチェコじゃなかった」女子やり投げ金・北口榛花(26歳)原点の国外遠征…高校時代から強かった“海外志向”きっかけは「北欧の投擲王国」 

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和田悟志

和田悟志Satoshi Wada

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photograph byRyosuke Menju/JMPA

posted2024/08/16 17:00

「実はチェコじゃなかった」女子やり投げ金・北口榛花(26歳)原点の国外遠征…高校時代から強かった“海外志向”きっかけは「北欧の投擲王国」<Number Web> photograph by Ryosuke Menju/JMPA

日本女子投擲界に初の金メダルをもたらした北口榛花。チェコでの武者修行が有名だが、実はその原点は別の国に…?

 もともと天賦の才があったとはいえ、それだけで世界のトップスロワーになれたわけではない。右肘のケガやコーチ不在など、様々な事情がありスランプに陥っていた時期に、こうやって自ら行動を起こすことで殻を破り、その後、躍進を遂げた。

 

 北口は自身の海外挑戦について、後進にもエピソードを披露している。

 2022年に日本陸連のダイヤモンドアスリート第9期生に向けたプログラムの内容が発表され、現在も日本陸連のホームページに掲載されたが、これが実に面白い。そこでは北口の陸上との出会いから語られているが、当時から海外への志向も高かったようだ。

海外志向のアスリートへの影響も?

 この時、北口の話を聞いたダイヤモンドアスリートの1人に、当時高校生だった女子中長距離の澤田結弥がいた。澤田は高校卒業後に日本の大学ではなく、アメリカ・ルイジアナ州立大学への進学を決め、今月にアメリカに旅立った。澤田の進路の選択に、この時の北口の影響も少なからずあったのではないだろうか。

 北口のように、海外を拠点としたり、海外の試合を転戦したりする日本人アスリートが少しずつ増えてきた。もちろんそればかりが正解ではないが、1つのモデルケースとして定着しつつある。

 とはいえ単身での海外挑戦はいかに大変だったことか……。北口のチェコでの奮闘ぶりは他の記事に譲るが、トレーニング面だけでなく、生活にも様々な苦労が伴った。例えば言語。小さい頃から英会話を習っていたとはいえ、非英語圏のチェコでは全く英語が通用せず、チェコ語を覚える必要性を痛感したという。

 磨き上げたのは技術や身体面だけではなかった。

 精神面でもタフさを身につけたことは間違いない。だからこそ、世界の舞台であれほどまでに輝けたのだろう。

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