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「ロスでは金メダルを」女子卓球「打倒中国」へ、次回五輪の代表選考をどうするか? 早田、平野、張本、伊藤だけじゃない“未来予想図” 

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松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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photograph byKaoru Watanabe/JMPA

posted2024/08/13 17:04

「ロスでは金メダルを」女子卓球「打倒中国」へ、次回五輪の代表選考をどうするか? 早田、平野、張本、伊藤だけじゃない“未来予想図”<Number Web> photograph by Kaoru Watanabe/JMPA

パリ五輪女子卓球、団体日本チームの面々。次のパリ五輪のメンバーは果たしてどのような陣容になるだろうか

 こうして次から次へと選手が育ってくる理由には、育成と強化のシステムの成功がある。1980年代に年代別の全国大会を設け、2001年には小学生のナショナルチーム「ホープスナショナルチーム」を立ち上げ、育成に努めた。その選手たちに限らず、指導する各地のコーチも国内で勝てる選手という指導から、海外で勝てる選手へと目線が変わり、強化は好循環を生んだ。

 また卓球の特色として、元選手だった親が子どもが2~3歳くらいから熱心に指導を行うケースが少なくないのも、選手が育つ土壌になっている。それがトップ層を中国に立ち向かうまでのレベルに押し上げるとともに、選手層全体の厚さにもつながっている。
 
 ロサンゼルス五輪へ向けても、熾烈な代表争いが繰り広げられるだろう。

打倒中国のための選考をどう行うか

 とはいえ課題もある。代表選考を、どのように行うかだ。パリ五輪の選考対象大会のスタートは、2022年3月の「ライオンカップ・トップ32」だった。東京五輪に力を注いだ代表選手にとっては、気持ちと体を立て直して本格的に始動するにはまだ時間が足りなかったか、東京五輪の代表だった伊藤、石川、平野はそろって準々決勝で敗れている。代表選考をどのタイミングで始めるかは、ひとつの課題となるだろう。

 また、パリへ向けては国際大会、国内の選考大会、さらにTリーグと、ポイントの対象が幅広かった。そのためスケジュールが多忙を極めて消耗する選手も出た。「対中国の強化につながらない」という声もあった。

 さらに、張本のようにオリンピックが近づいたタイミングで急速に伸びてきた選手を、長期的な選考期間でのポイントの蓄積という仕組みでは拾いきれない、という意見も耳にした。

 日本卓球界が目標とするところから逆算し、パリ五輪の選考基準をどう評価するか、強化という観点から改善点はあるのか、検証する。中国を倒して世界一になるためにも重要な作業のひとつになる。

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