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「高架下のような騒音」卓球・パリ五輪の“大きすぎる声援”はなぜ問題なのか? 現地で感じた「打球音が聞こえない」という重大な影響
text by
高樹ミナMina Takagi
photograph byJIJI PRESS
posted2024/08/07 17:22
張本智和も指摘したパリ五輪・卓球会場の騒音問題。現地からのリポートをお届けする
卓球は「目と耳で情報収集する」スポーツ
ただし張本は決して、集中できなかったという理由だけでサーブミスをしたわけではない。
卓球という競技は目だけでなく耳でも情報収集するスポーツで、特にサーブはラケット面の向きに加え、ボールとラケット面が接触する際の音でも相手ボールの回転や種類を判別する。
逆に自分がサーブを出す時は足で床を「ダン!」と鳴らし、打球音を掻き消したりするほどだ。
さらに、ラリーでボールを打つ時にはラケットから手に伝わる打球の感覚以外に打球音でインパクトを確かめてもいる。
そのため会場がうるさいと耳栓をしたような状態になって、耳からの情報量が激減しプレーに少なからず影響があると選手たちは言う。
対戦相手と3メートル程の至近距離で向き合うため、相手の手元や表情が見え、ボールの重さは2.7グラムと軽い卓球ならではの競技特性と言えるだろう。
日本と異なるヨーロッパ諸国の応援スタイル
卓球競技を取り巻く事情はまだある。
卓球の大会では決勝や準決勝以外、卓球台を複数並べて試合が同時進行されるため、各コートの応援が重なることになる。
パリ五輪も例外ではなく、例えばシングルスは準々決勝から決勝は1台で行われるが、1回戦と2回戦は4台、3回戦は2台のため、サーブの態勢に入った時に隣コートのスーパープレーで観客が沸くことがしばしばある。
実際、フランスの選手が激しいロングラリーの末に得点した際、地元ファンが沸きに沸き、まだ試合が続いているにもかかわらずウェーブが3周する場面があった。