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「あれっ? 佐々木麟太郎だ」じつは“花巻東高の先輩”大谷翔平を見に来ていた…MLBオールスターのウラ側、日本人記者が見た「大谷の“目”が忘れられない」
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![田中仰](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/6/3/-/img_63c0172edf1a3eec5d5017836b5eb9301895.jpg)
田中仰Aogu Tanaka
photograph byGetty Images
posted2024/07/20 11:00
![「あれっ? 佐々木麟太郎だ」じつは“花巻東高の先輩”大谷翔平を見に来ていた…MLBオールスターのウラ側、日本人記者が見た「大谷の“目”が忘れられない」<Number Web> photograph by Getty Images](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/6/3/700/img_630c6dbd9b6ed551b16c5e78ce2342291450522.jpg)
MLBオールスターの前日練習。大谷翔平と今永昇太のツーショット
机のすぐ近くには代理人ネズ・バレロ氏の姿もある。関係者と談笑しながら、ときに豪快に破顔している。写真で見ていたとおりの“キレ者感”の中に、フランクな人柄も見受けられた。
テレビで幾度となく流れていた大谷の囲み会見。生で見たのは初めてである。前日には約1200マイル離れたデトロイトで、タイガースとの3連戦を終えたばかり。顔から首、そしてユニフォーム焼けだろう、上腕と前腕で肌の色が明確に変わっている。
大谷の取材は、その「目」に強烈な印象が残った。質問者をジッと見つめて答えていく。英語の質問に日本語で回答するときも、通訳でなく海外記者の目から離さずに発言する。質問者が少したじろぎそうなほどだった。とりわけ野球とパフォーマンスに関する話題については言語化が難しいのだろう。繊細な表現を伝えようと、手振りも使ってまで説明していた。
「バーベキューの好きなメニューは?」「いい質問!」
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各ブースを回っていると、特に海外記者から、野球とはまるで関係のない質問が飛び出すことがある。たとえば、ホームランダービーの決勝に進出した若きMLBスター、ボビー・ウィット・ジュニアへの質問。応えるウィットの回答と合わせて一例を紹介したい。
「もし野球選手にならなかったら、どのスポーツを選んでた?」
→アメフトだね。
「ボビー。自分の名前を、故郷でもあるテキサスの方言・訛りを強調して言ってみて」
→私がボビーです。(アメリカ人記者たちが笑っているため南部訛りがあると思われる。日本語で言うところの関西弁のようなものだろうか)
「外出したら絶対に買うものは何?」
→うーん、普通に水だな。つまらない答えだけど。
「テキサス出身のボビーに聞きたい。バーベキューの好きなメニューは?」
→いい質問! 間違いなくリブとポテトサラダだな。
「あれっ? 佐々木麟太郎だ」
こうした質問が繰り出されるかどうかは、場の雰囲気にもよるだろう。制限時間終盤になると、最初は殺到していたウィットのブースは、空き気味になった。すると、ブース周辺を包むあの独特の緊張感が消えて、フランクな質問が増えるのだ。大谷のブースで、バーベキューのことを聞く勇気は……流石の米記者にもないかもしれない。
メディアは、ホームランダービー直前のフィールドに降りることも許可されている。選手に話しかけることはできないが、練習の様子が近くで見られる。ダービー前は主に、出場選手が打撃練習を行っていた。許可されたエリアでは、歩くだけでも“人物たち”に出くわす。たとえば松井秀喜やイチローらと同僚だった「ヤンキースのレジェンド」デレク・ジーター、あるいは上原浩治とともにワールドチャンピオンに輝いたレッドソックスのデビッド・オルティーズ。そして、現在はスタンフォード大でプレーする佐々木麟太郎の姿もあった。
制限時間終了後、メディア席に戻る。昼過ぎにはハンバーガー(ほかにもチキングリルやホットドッグ、ポップコーンのケータリング)が供され、以降はコカ・コーラが飲み放題だった。
どこまでもアメリカの球宴である。
<続く>
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