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メジャーリーグPRESSBACK NUMBER
「ショウヘイ、7分しか経ってないよ!」アイアトン通訳が大谷翔平にツッコんだ…日本人記者が見た“通訳の気遣い”「あれっ? ショウヘイどこ?」
posted2024/07/20 11:03
text by
田中仰Aogu Tanaka
photograph by
AFLO
大谷翔平が鮮烈なスリーランホームランを放ったMLBオールスター。その現地テキサスでNumberWebの記者が大谷を密着取材した。見えてきたアイアトン通訳と大谷の関係性とは?【全2回の後編/前編も公開中】
◆◆◆
「こりゃ異世界だな…」
ホームランダービーを終えたばかりのボビー・ウィット・ジュニアが、クラブハウスでロッカー前の椅子に腰掛けていた。1本差で敗れたテオスカー・ヘルナンデスとの激闘を終えたばかりで、疲労もあったのだろう。着替え途中のようだが、スマホを見ながらなのでなかなか進まない。思えばウィットはメジャー屈指のスターとはいえ、まだ24歳である。フィールドでは見せない、今どきの若者らしい素顔が垣間見えるのも場所ゆえか。
メジャーリーグでは“クラブハウス取材”が許可されている。普段はミーティングや着替えが行われるクラブハウスで、選手がいればタイミングを見計らって話を聞けるのだ。
7月16日。オールスターの試合当日もクラブハウス取材の時間が両チームともに設けられていた。前日のブース取材時と同様、先にアーロン・ジャッジらがいるア・リーグ、つづいて大谷翔平がいるナ・リーグという順だった。
ナ・リーグのクラブハウスはア・リーグより混んでいた。すると私と同じタイミングで入室した海外記者がつぶやいた。
「こりゃ異世界だな……」
レギュラーシーズンでも見られない人の多さなのだろう。
「エクスキューズ・ミー」
優しく声をかけながら、後ろを通る選手がいた。振り向けばユニフォーム姿の男性が立っている。オールスターの約1週間前、大谷が打ち取られたフィリーズの左腕マット・ストラームである。テレビ画面でも強烈だったワイルドな長髪と風貌が、いきなり目前に現れた……メジャー取材が初めての私にとっては、昨日からすべてが「異世界」である。
「姉の夫が日本でプレーしてるんだ。知ってる?」
クラブハウスでは冒頭のウィットや、昨年新人王のガナー・ヘンダーソンらと話をすることができた。ウィットは「そういえば……」と取材終わりにこんな情報まで教えてくれた。