Sports Graphic NumberBACK NUMBER

「圧倒的にリードの練習量を増やしました」野中生萌が挑む2度目の大舞台。パリの先に見据えるクライミングの未来と抱く決意 

text by

松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

PROFILE

photograph byAFLO

posted2024/08/01 11:00

「圧倒的にリードの練習量を増やしました」野中生萌が挑む2度目の大舞台。パリの先に見据えるクライミングの未来と抱く決意<Number Web> photograph by AFLO

パリ2024オリンピック予選シリーズ ブダペスト大会でパリへの切符を掴んだ野中生萌

 メダルを獲得したことで成果も実感した。

「実際にメダルを獲得したことで、クライミングに対する周りの認知や世界の反応を身近に感じることができました。自分自身に対して何か想い描くというよりかは、クライミング界の成長やこれからの未来のクライマーのために何か私を通してプラスな変化を与えることができるのではないか、またそうしたい! と思うようになりました」

 広めたいという意識の強さは自身の競技活動以外の実践にも表れていた。代表選考が続く合い間の今年3月9、10日、「三井不動産 presents JMSCAクライミング体験キャンプ in 東京ミッドタウン」に参加。小学生への指導にあたった。

「参加してくれるみんながすごくエネルギッシュでいつも子どもたちから元気をもらってます。このイベントを通して、楽しかった! またやりたい! と感じた感覚を大切に、クライミングに限らずいろんなことに挑戦していってほしいです」

野中生萌とともにクライミングの成長を支える三井不動産

 クライミングが社会に広がるための課題も認識している。

「クライミングをやり始められる場所はまだ十分ではないですが、それよりむしろ、そこに長く携わりたい、またはプロフェッショナルな道に進みたいと思う人が長期のプロジェクトとして成長できる環境というのがなかなかない印象です。新しく始めたキッズの子達から、ユースの育成、プロが誕生するまでの構造がしっかりと整っていれば、これから先の日本のクライミングももっと普及していくのではないかと思います」

 構造とともに、クライミングに触れる機会が増える=場所が増えることも重要だ。例えば東京・渋谷の「MIYASHITA PARK」にボルダリングウォールが設置されている意義をこう語る。

「多くの人の目に触れる機会があるのはうれしいです。まったく認知度が低いところから、東京の若者が多く集まる中心に建てられるほどになったことは本当に驚きですし、クライミングのポテンシャルをまだまだ感じます」

 そのMIYASHIYA PARKを手掛け、スポーツを通じた街づくりを推進している三井不動産は、東京2020でスポーツクライミングの採用が決まる前からスポーツクライミングを支援し、また野中の支援も続けてきた。

「日本代表の支援を含め長くクライミングシーンを応援していただけていることが本当にありがたいです。個人的にも長く応援してくださっているパートナーがいるということは大きな力になっていて、より強いクライマーになるための大きな推進力になっています」

 たくさんの支えとともに歩んでこられたことにも感謝する。

「東京から3年、たくさんの方々の力を借りながらより一層内容の濃い練習を重ね、日々成長することができたと思っています。皆さんへの恩返しとしても全力で頑張りたいですし、私自身も過去よりパワーアップしたパフォーマンスがしたいです」

 感謝の心と、クライミング普及への思いと、第一人者たる誇りとともに臨む2度目の大舞台。そこにあるのはあくなき挑戦者たる姿勢が生み出す輝きだった。

三井不動産が実施しているスポーツを活用したイベントなど、様々な「BE THE CHANGE」プロジェクトを紹介します。
https://www.mitsuifudosan.co.jp/bethechange/

三井不動産はTEAM JAPANゴールド街づくりパートナーです。

関連記事

BACK 1 2

ページトップ