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「悔しいけど…俺は“ウサギと亀”の亀だった」香川真司(35歳)が明かす17歳のルーキー秘話「俺は陰の方で、なるべく目立たないように」
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ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAsami Enomoto
posted2024/07/20 17:00

2023年に12年半ぶりにJリーグ・セレッソ大阪に復帰した香川真司(35歳)
自分の立ち位置を認識したのは'06年、新入団選手による記者会見の席だった。期待の若手として紹介されたのは、森島康仁('21年引退)、柿谷曜一朗(現徳島ヴォルティス)ら、すでにユース年代で名を馳せた面々だった。
「彼らは大型ルーキーだったからね。俺は陰の方で、なるべく目立たないよう、初々しく『頑張ります』と(笑)」
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当時のC大阪はGM肝いりの若手育成プロジェクトを進め、香川を含め計8人のルーキーとプロ契約を締結した。若手同士を競わせ、チームの底上げを図ろうという狙いである。そしてそれは、香川にとってプラスに作用する。
週初めには、トップチームの練習後、若手だけは特別な練習を課されていた。1000m走を短時間で8本や、40分間走など、とにかく走った。当時トップチームに所属していた大久保嘉人は、その姿を見て「競馬が始まったぞ」と表現するほどだったという。
「キャンプとか合宿みたいでしたもん。だから、俺も『プロ1年目で試合に出る』という意識は全くなかったんですよ」
そう苦笑交じりに振り返る。
悔しいけど、楽だった「亀」の立ち位置
「今の時代は早く海外に出たいと考える選手も多いでしょうけど、当時は違った。だから、『2~3年は試合に出られなくていい』とすら考えていました。20歳までに身体作りをして、スピードにも慣れて、そこから花が咲けばいいなと」
そうやって自身の成長を冷静に考え、鍛え抜いたことで、トップで戦い抜くためのスピードとフィジカルを手に入れた。だが、同期に対する周囲の注目を見るや、心の底で青白い炎を燃やした。
「当時は彼らの方が注目を集めていて、俺は『ウサギと亀』の『亀』だった。悔しいけど、楽でしたね。もちろん、スポットライトを浴びないから悔しいけど、『今に見ていろよ』と密かに思うくらいでした」
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