海外でのプレーにこだわり続けた男が昨年、約12年半ぶりとなる古巣復帰を果たした。キャリアを大きく左右する決断の背景とは――。終始晴れやかな表情で力強く語ってくれた。(原題:[独占インタビュー]3 香川真司「どんな道でも正解だよ!」)
「Jリーグに戻ると決めるまでは、今までで最も大きな葛藤がありました。やはり、ヨーロッパでチャレンジしたい気持ちはあったから。ただ、当時の状況で、欧州5大リーグ以外でやる気持ちには、なかなかなれなくて。それでも、サッカー選手としてプレーしていくために決断しました」
2023年初め、香川真司は約12年半ぶりにJリーグに復帰した。過去にはヨーロッパの強豪クラブを渡り歩き、日本代表では10番を背負い世界と戦った。誰よりも高いレベルでプレーすることにこだわってきたからこそ、海外の地を離れることは、大きな決断だった。
「開幕戦のためにヨドコウ(桜スタジアム)へバスで向かっているときにもまだ、言葉で表せないような感情に包まれていました。12年半前に一度、大阪から旅立っているわけで。違和感や不安があって……。まぁ、不安の方が大きかったかな」
慣れ親しんでいるはずのスタジアムに向かう道中、香川は葛藤と不安を胸に抱えていたという。
「スタジアムに入るときに大勢のサポーターの姿が見えて、試合前ピッチに出たときには彼らの大声援が聞こえてきて。『よし、ここでやるぞ!』と腹を決められた。そこからは不安もスッと消えましたね」
この時期はまだ、手術を受けた足首への電気治療を毎日2~3時間受けていた。朝起きて食事をし、身体のケアをして練習に臨む。昼食後には長い治療を受け、また食事をして、眠る。週末の試合へ向け、そんな日々の繰り返しだった。不安がないと言えば強がりにも聞こえるが、これまでもそうして決断してきたサッカー人生だった。
全ての写真を見る -3枚-
特製トートバッグ付き!
「雑誌プラン」にご加入いただくと、全員にNumber特製トートバッグをプレゼント。
※送付はお申し込み翌月の中旬を予定しています
photograph by Asami Enomoto