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ホームラン激減だけでない…“異様な貧打”プロ野球5つのデータ「ピッチクロックなしで時短」「統一球時代と比べても」問題の根本は? 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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photograph byHideki Sugiyama

posted2024/07/23 11:01

ホームラン激減だけでない…“異様な貧打”プロ野球5つのデータ「ピッチクロックなしで時短」「統一球時代と比べても」問題の根本は?<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

2024年のプロ野球はロースコアの展開で進む内容が多い。データや成績で見ると、どのようになっているか

 ここ20年、NPBの試合時間は9回段階で3時間10分前後で推移してきた。最短は2011年の3時間6分だったが、今季は前年から一挙に7分も短くなった。

 ピッチクロックを導入したわけではないから、投手の投球間隔が短くなったわけではない。打撃戦が減少して試合進行が早くなったとみるべきだろう。

延長戦を含めた試合時間を見ると増えている

 注目すべきは延長戦を含めた試合時間だ。9回までの試合時間は大きく短縮しているのに、延長戦を含めた試合時間は増えている。実は今年、延長戦(補回試合)、引き分け試合が急増しているのだ。延長12回制だった2018年以降の両リーグ別の引き分け試合数と、全試合数に占める比率(%)を出す。

2018年:セ15(1.7%)、パ17(2.0%)
2019年:セ18(2.1%)、パ26(3.0%)
2020年:セ48(6.7%)、パ32(4.4%)※
2021年:セ93(10.8%)、パ111(12.9%)※
2022年:セ18(2.1%)、パ14(1.6%)
2023年:セ22(2.6%)、パ16(1.9%)
2024年:セ25(4.7%)、パ19(3.6%)

※2020年は延長10回まで、2021年は延長なし。その他の年は延長12回まで。

 コロナ禍で試合時間を短縮するために延長戦が10回までだった2020年、9回打ち切りだった引き分け試合がなかった2021年に引き分け試合が増加するのは当然だが、それ以外の延長12回制のシーズンでは、引き分け試合数は全試合の2%前後で推移していた。それが2024年はほぼ倍増している。

 筆者は今季、NPBの公式戦をすでに30試合ほど観戦しているが、ロースコアゲームが多い上に、終盤になっても試合が動かないケースが多いと感じている。

 本来なら、もつれた試合は中軸打者の一発で決まることが多いのだが、ゲームチェンジャー的なホームランが本当に出ない印象だ。その分、接戦が多く、球場は盛り上がっているが、延長戦も本当に多くなっている。そして延長に入っても決着がつかないケースが多い。

(3)二軍も含めて「投高打低」が進行している

 NPBの二軍は、本拠地球場こそ異なるが、ボールもバットも、審判のストライクボールの判定も同じ規格、基準で試合を行っている。

 もし「投高打低」が、選手の力関係や、特定チームの問題でないのなら、一軍、二軍で同じ傾向になっているはずだ。

 そこで、過去5年のOPS(長打率+出塁率、打撃の総合指標)と1試合当たりの本塁打数(HR/G)について、セントラル、パシフィック、イースタン、ウエスタンの4つのリーグについて数字を取ってみた。

【次ページ】 (4)2011年の「統一球」導入の時はどうだったのか

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