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「トサ、俺の親父と一緒の歳だな」ラグビー土佐誠が英国で楽しむ“38歳の新入部員”生活「頭の病気、大麻事件、いろんなことがあったけど…」
posted2024/06/28 11:04
text by
中矢健太Kenta Nakaya
photograph by
Kenta Nakaya
現役引退後の昨夏、ケンブリッジ大学のジャッジ・ビジネススクールに合格した土佐誠は、2023年9月から大学院生としての日々を送っている。経営学修士(エグゼクティブMBA)の取得に向けて、ビジネスマネジメントやリーダーシップについて学びながら、ラグビー部にも所属している。
キャンパスを歩くと、一際体が大きく見つけやすいことも相まってか、よく声をかけられる。クラスメイトや大学職員、さらにはチームメイトのガールフレンドだという女性まで。人によって態度を変えず、誰にでも温厚な土佐は人気者だ。
ただ、講義は毎日あるわけではなく、月に数回。その分、次回の講義までには大量の課題が出る。一方で、三菱重工の社員という顔を持つ土佐は、日本にいる間は相模原のオフィスに通う。課題はグループワークが多く、日本にいる時は時差に合わせながらビデオチャットを通じて取り組む。妻と2人の子供の協力もありながら、日々を乗り越えている。
なぜ今もラグビーをするのか?
ラグビーを続けたのは、プレーしたかったのはもちろん、プレーすることでしか生まれない人間関係の広がりも一つの要因だった。関東学院大学を卒業してから留学したオックスフォード大学で、すでにその重要性を感じていた。毎月の航空券は全て自費。講義を受けるためだけに数十万円をかけて往復するのはもったいない。できる限り多くのことを体験しようと思った。ラグビー部の卒業生が置いていった自転車を譲り受け、広大なキャンパスの中にある学舎とグラウンドを行き来している。
チームでは最年長の土佐。38歳の新入部員という立ち位置を楽しんでいる。土佐のような部員は珍しいケースではなく、その前には当時37歳の元イングランド代表選手が在籍していた。それでも、チームで土佐の次に若いのは27歳の研修医。ミレニアル世代からZ世代のド真ん中まで、チームメイトの幅は広い。
そんな多様な仲間たちとやるラグビーは、とにかく楽しい。ラグビーを始めた高校生の頃に戻ったように、純粋にラグビーが楽しいのだ。