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大谷翔平もイチローも「英語ペラペラなのにナゼ通訳が必要?」NY在住の日本人記者が心を痛めた“外国人の失言”「息子の誕生日に無情クビ通告」
posted2024/06/05 06:00
text by
杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph by
Getty Images
米スポーツの取材現場では様々な経験ができるものだが、メジャーリーグのクラブハウスがあれほど異様な雰囲気になったのは久々だった。今回は“言葉”が焦点になった一件だけに、アメリカで暮らす1人の外国人として筆者も他人事に感じられなかった。
ニューヨークでも大きな話題を呼ぶ“事件”が起こったのは5月29日。シティフィールドで行われたニューヨーク・メッツ対ロサンゼルス・ドジャース戦でのことだった。
このゲームの8回表、大谷翔平に左越え2ランを許したメッツの右腕ホルヘ・ロペスは続くフレディ・フリーマンの打席中、ハーフスイングをボールと判定されたことで激昂。判定に抗議して退場処分を受けたロペスは完全に逆上し、ユニフォームの裾を外に出し、ダグアウトに戻る際にグローブをスタンドに投げ入れた。
現場が凍りついたロペスの発言
この日の試合にも敗れたメッツは直近の9戦中8敗と低迷中。ただでさえ消沈しがちなチームの空気をさらに悪くする行為に、ゲーム後の記者会見でカルロス・メンドーサ監督は「彼がやったことは受け入れられない」と自軍投手を公に批判した。当のロペスは少し落ち着いて反省しているかと思いきや、結果的にメッツの一員として最後になるメディア対応での言葉は後々まで論議を呼ぶものとなった。
「後悔はしていない。私はMLBで最悪のチームでプレーしている。なるようになる。彼らに好きにさせればいい。彼らが望むのであれば私は明日もここにいるよ」
乱調&退場直後の興奮からか目を赤く染めたロペスはそう述べたように聞こえ、周囲を取り囲んだメディアはほとんど凍りついた。
そこであるレポーターに「(メッツは)最悪のチームと言ったのか」と確認されても、ロペスは「たぶんね。そう見えるよ」と傍若無人な態度を取り続けた。こういったコメントを額面通りに受け取るのであれば、完全なチーム批判。この後、ロペスには早々と戦力外通告が成されたが、それも仕方なかったのだろう。
しかし、実は問題が1つある。英語が母国語ではない31歳のプエルトリコ人はアクセントが強い。筆者もメッツのクラブハウスでロペスを取り囲むメディアの輪の中にいたが、実際に何を言ったのかははっきりしなかったのだ。