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「形になってきた」交流戦連勝スタート、小園・末包・坂倉の好調で、やりくり上手のカープ新井監督がようやく口にした成長の手応え

posted2024/06/03 11:00

 
「形になってきた」交流戦連勝スタート、小園・末包・坂倉の好調で、やりくり上手のカープ新井監督がようやく口にした成長の手応え<Number Web> photograph by JIJI PRESS

5月に入ってからは「4番サード」での起用が増えた小園。リーグ5位の打率.296(6月2日時点・規定打席到達者)でカープ打線を牽引する

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前原淳

前原淳Jun Maehara

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 強烈な個を擁していなくても、束になれば力は増大する。開幕序盤に苦しんだセパ2球団が、交流戦では好スタートを切った。パ・リーグでは大型連勝のロッテ。そしてセ・リーグでは、新井貴浩監督率いる広島だ。

 マツダスタジアムでの交流戦最初の対戦相手は、リーグ3連覇中のオリックスだった。5月28日の初戦は初回に奪った2点のリードを先発・床田寛樹から勝ちパターンのリレーで守り切る、今年の広島野球で取った。次戦は打線がつながり、今季最多タイ19安打で最多得点となる14点で大勝した。

 2022年まで交流戦は3シーズン連続最下位だった(20年は中止)。昨季は5割で乗り切ったが、今季は連勝で鬼門の印象を払拭してみせた。

 交流戦の連勝スタートは連覇した17年以来。当時はタナキクマル(田中広輔、菊池涼介、丸佳浩)の上位トリオに、若き4番の鈴木誠也(カブス)、新井貴浩(現監督)とリーグを代表する選手を擁し、ベンチにも代打、代走と控えも多士済々だった。真っ向からぶつかっても、パ球団のパワーやスピードに太刀打ちできる選手がそろっていたと言える。

 だが今は違う。秋山翔吾や菊池涼介といった経験ある選手は健在だが、開幕から限られた戦力をやりくりしながら白星を重ねてきた。5月21日から毎日更新されているオールスターゲームのファン投票で、リーグで唯一選出圏に誰もランクインしていないことがスター選手の不在を物語る。

少しずつ見えてきた成長のしるし

 ただ、新井体制も2年目となり、チームづくりはさらなる一歩を踏み出そうとしている。

「形になってきたなと感じます。いつも言っているように、戦いながらチームが成長している、という実感はあります」

 今季初5連勝となった29日のオリックス戦後、新井監督は手応えを口にした。前向きな発言が目立つ指揮官ではあるが、チームビジョンに一定の納得度を示したのは意外だった。それだけの可能性を3人の選手に感じているのだろう。3人とは、5月18日の巨人戦から中軸に並ぶようになった小園海斗、末包昇大、坂倉将吾だ。

【次ページ】 成長とともにある課題

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