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「形になってきた」交流戦連勝スタート、小園・末包・坂倉の好調で、やりくり上手のカープ新井監督がようやく口にした成長の手応え 

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前原淳

前原淳Jun Maehara

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photograph byJIJI PRESS

posted2024/06/03 11:00

「形になってきた」交流戦連勝スタート、小園・末包・坂倉の好調で、やりくり上手のカープ新井監督がようやく口にした成長の手応え<Number Web> photograph by JIJI PRESS

5月に入ってからは「4番サード」での起用が増えた小園。リーグ5位の打率.296(6月2日時点・規定打席到達者)でカープ打線を牽引する

 3人がスタメン固定されるようになってからのチームは、30日までの11試合で1試合平均得点5.2点をたたき出した。一発長打を秘めた末包が昇格する前日までの29試合は1試合平均2.7点だった。

 相乗効果もある。同世代の3選手が並ぶことで競うようにアピールする。

■11試合の打撃成績
小園/打率.364・1本塁打・7打点
末包/打率.333・4本塁打・13打点
坂倉/打率.333・1本塁打・5打点

 3選手で計6安打4得点4打点をマークし、今季最多得点に貢献した29日オリックス戦後、小園が「スエさんにプレッシャーを与えられるように今は頑張ってやっています」と言えば、末包も「小園がよく打つのでしっかりつないでいきたい」と応える。

「サク(坂倉)とよく話している。5番6番が何とかすれば、(打線は)回っていく。4番までにランナーが出て、得点圏で5番、6番がダメだった場合、またそこから次の得点圏をつくろうとなると、また5番、6番に回ってくることが多い。だから中軸でなんとか1本でも打てば、打線の巡りも良くなっていって打線になってくると思うので、そこはサクと2人で頑張ろうって話はしています」

 3選手の中で最年長の末包がそう語るように、3選手のうち2選手が同じイニングで出塁した回は17度あり、そのうち11度は得点に結びつけている。

成長とともにある課題

 新井監督にとって、就任1年目から期待をかけていた選手たちだ。アプローチは三者三様。坂倉には正捕手の座を与え、まだ2年目だった末包には二軍で土台をつくる時間を与えた。シーズン終盤には積極的に打席に立たせ、愛のあるいじりで思い切りの良さが消えないように接した。一方で精神的な弱さが見られた小園は、夏場までの2カ月半、二軍で鍛え直しをさせた。

 珍しくチームづくりの進展に一定の納得を示した新井監督だが、無論このまま順調に完成度が上がっていくとは思っていない。彼らも壁にぶつかり、チームも難局を迎えると覚悟している。

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