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長谷部誠24~26歳「結局は自分次第。社会のせいにするなよと」「マガト監督のサッカー観には…」ドイツ挑戦で“まだ青い”けど芽生えた主将の資質
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NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph byTakuya Sugiyama
posted2024/05/30 11:10
2008年、日本代表の主力に定着した頃の長谷部誠(当時24歳)
長谷部は南アフリカW杯を前にした26歳時、「ひとつの方向に向かってまとまる日本の力は素晴らしい」と日本の結束力を認めながらも……個人が主張することの重要性を、こうも説いていた。
「日本は社会的にそういう人間が育ちにくいと言われるけど、そうは思わない。結局は自分次第だから。社会のせいにするなよって思う」
まだ20代らしい青さがありながらも、長谷部らしさがあふれている。
そのパーソナリティーを観察していた岡田監督は南アフリカW杯直前、長谷部にキャプテンを託した。大会直前の芳しくない成績によって沸き起こった不安の声を打ち消すかのように長谷部らは奮闘。日本代表は自国開催以外で初となる決勝トーナメント進出を果たすことになった。
マガト監督のサッカー観には影響を受けました
<名言3>
「将来監督になったら、こうやろう」というイメージがあったんですが、また別のやり方もあるんだということがわかった。
(長谷部誠/Number730号 2009年6月4日発売)
◇解説◇
長谷部のドイツ前半のキャリアを語るにおいて不可欠な存在は、フェリックス・マガトである。マガトは、現代なら選手から反発が起こってもおかしくないハードトレーニングを科すなど、“鬼軍曹”として知られた。その中でボルフスブルクでは長谷部誠と大久保嘉人を、シャルケでは内田篤人を獲得した。
ドイツのメディアから「日本人コレクター」と呼ばれるようになったが、「日本人選手は、テクニック、走力、規律の3つが優れている」、「私が要求する戦術と、日本人選手のメンタリティは非常に相性がいい。日本人選手はとても勤勉で、こちらがブレーキをかけなきゃいけないくらいだからね」と高く評価していた。
マガトのサッカーを長谷部はどう感じていたのだろうか
「ブラジル人選手の方が技術が優れているかもしれないが、彼らは規律を好まない。ヨーロッパには走力があっても、技術がない選手もいる。日本人は3つすべてを持っており、それがチーム戦術的にとても大きな意味を持っている」
では……選手の立場である長谷部はどう感じていたのだろうか。