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酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
「道楽や売名行為ではなく、スポーツで…」ファーム新球団「くふうハヤテ」は今どうなってる?「倉本寿彦や田中健二朗らは実績を見せているが」
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byJIJI PRESS
posted2024/05/20 11:00
ウエスタン・リーグに参戦している「くふうハヤテベンチャーズ静岡」。その成り立ち、そして選手たちはどんな面々がいるのか
「独立リーグもNPBのファームと対戦しますが、ほとんどが三軍クラスです。二軍と戦うことを考えれば、元NPBの選手は10人ぐらいはいないといけないと思っていました。一方で選手の育成もチームの使命です。将来性と戦力均衡のバランスを取りながらも、ドラフトですぐにでもNPBに行くような選手も育てたいし、年齢的にドラフトは厳しいかもしれないけど、ファームリーグで戦う上では必要な戦力としてみなされる選手も欲しい。もちろん地元の選手を取ることも意識しました」
今回獲得した選手のうち、元NPBの選手は、NPB球団の目に留まり、7月31日のトレード期限までにオファーがあれば移籍する可能性がある。
「それはもちろん承知の上です。“苦しいですけど嬉しいです”という感じですね。NPB球団から来た選手は、もう1回リベンジしたいという気持ちで来ているんですから、球団としては全力で後押ししたいですね」
元DeNAの田中、倉本が貢献していた
株式会社くふうカンパニーが冠スポンサーについて、チーム名は「くふうハヤテベンチャーズ静岡」となった。1月に本拠地球場のちゅ~るスタジアム清水(清水庵原球場)でキャンプをスタートさせた。
筆者はNPBの春季キャンプの取材の後、清水に行った。率直に言って、施設的にも運営体制でもかなり見劣りした。そんな中で選手は懸命に体を動かしていた。
見慣れた顔が何人もいる。田中健二朗は、地元常葉菊川高校出身、DeNAではセットアッパーとして通算64ホールドを挙げた左腕だ。
倉本寿彦もDeNAでは背番号「5」をつけ、内野守備のかなめ、つなぐ野球でチームに貢献した。
前述の福田秀平は、くふうハヤテのトライアウトだけでなくNPBの合同トライアウトでも話を聞いたが、物静かな口調の中にも「このままでは終われない」という気持ちを感じた。
医学部出身、北広島市の職員だった投手も
独立リーグなどの出身者も多いが、投手の竹内奎人は、国立の群馬大学の準硬式野球部出身、学部は医学部。整形外科を志し、この春、医師の国家試験に合格。「プロ野球選手と医師」と言えば、オールドファンはゲイル・ホプキンスを思い出す。広島、南海で活躍したホプキンスは野球の傍ら広島大学医学部などで研究を続け、退団後アメリカの医師免許を取得している。竹内はホプキンス以来となる経歴なのではないか。
同じく投手の早川太貴も、異色の経歴を持っている。