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酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
「道楽や売名行為ではなく、スポーツで…」ファーム新球団「くふうハヤテ」は今どうなってる?「倉本寿彦や田中健二朗らは実績を見せているが」
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byJIJI PRESS
posted2024/05/20 11:00
ウエスタン・リーグに参戦している「くふうハヤテベンチャーズ静岡」。その成り立ち、そして選手たちはどんな面々がいるのか
監督には近鉄バファローズで救援投手として活躍した赤堀元之氏を招へいした。池田社長は、狙いをこのように語る。
「もちろん地元を意識しました。静岡県出身の方を起用するという前提で、県の野球協議会にも相談をさせていただきました。赤堀さんは、地元の名門静岡高校の出身で、しかもタイトルホルダーでもあります。知名度は抜群でしたから。
私が重視したのは『独立リーグの経験があるかどうか』ということでした。独立リーグはプロ野球とは違った苦労があります。今回のチームはNPBのファームのリーグに参加しますが、運営体制は独立リーグに近いですから。
赤堀さんは2015年から新潟アルビレックスBCの監督をしていましたし、昨年は淡路島ウォリアーズの采配を執っていた。その上NPB球団でのコーチの経験も豊富でしたから」
山下大輔GMと、藤岡や福田の存在
さらに代表付きGM(ゼネラルマネージャー)には、山下大輔氏が就任した。
「静岡県出身で監督経験があるのは山下大輔さんと大石大二郎さんのおふたりしかいない。大石さんにも話をしたのですが、フルで関係するのは無理だということでした。
山下さんも大リーグの解説もされていますから常時チームを見ることはできない。それはよく理解しています。年齢的に監督というより、チームを大きな視野で見ていただきたいのと、名士ですから地元の営業活動に貢献いただきたいというところです」
コーチ陣就任の記者会見で、山下GMは「まさか私がノックバットをノックバットを振るわけにもいきませんので、コーチを選任しました」と言って、報道陣を笑わせた。
そこはかとないユーモアを漂わせた柔らかい人柄の山下GMと生真面目な赤堀監督とはいいコンビではないかと思った。
11月のトライアウトでは、NPB経験のある選手、独立リーグやアマチュア野球の選手が集まったが、中でも目を引いたのが藤岡好明だった。
ソフトバンク、日本ハム、DeNAで15年間プレーし、57ホールドを記録した救援投手だったが、昨年時点では火の国サラマンダーズの投手兼任コーチだった。池田氏はこう続ける。
「彼の野球に対する姿勢は、手本になるので、まず投手の核となる存在として取ろうと思いました。
そして元ソフトバンク、ロッテの福田秀平ですね。彼は、うちのトライアウトの後に行われたNPBのトライアウトも受けていた。そのあとに、正式にオファーさせていただいた。オンラインで面談をして、まわりの選手を盛り上げることもできる選手なので来てほしいと言いました。コーチ、選手も含めていろいろなオファーがあったようですが、立ち上げから参加できるところに興味があると、うちを選んでくれました」
NPB移籍になれば“苦しいけど嬉しいです”
では、選手を獲得するうえで、どんなことを重視していたのだろうか。