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「3発で土俵下まで吹っ飛ばされ…」急逝・曙とデビュー戦で対決…同期力士が振り返る“驚愕の一撃”「バケモノでした。こんな奴がおるんかと」 

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欠端大林

欠端大林Hiroki Kakehata

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posted2024/05/12 17:00

「3発で土俵下まで吹っ飛ばされ…」急逝・曙とデビュー戦で対決…同期力士が振り返る“驚愕の一撃”「バケモノでした。こんな奴がおるんかと」<Number Web> photograph by JIJI PRESS

18歳の新弟子検査時の曙(左)と横綱になってからの姿。若貴兄弟に加えて曙、魁皇と昭和63年春場所初土俵組は黄金世代だった

 古市氏は現役引退後の2010年、角界を揺るがせた「大相撲野球賭博事件」の主犯格として、のちに有罪判決を受けた。

「華やかな一面が強調される“六三組”ですが、自分も含め、関取になれなかった多くの力士たちの人生はほとんど知られていないと思います」(古市氏、以下同)

「若貴世代の落第生」と自称する古市氏が、「花の六三組」の光と影を語った。

 父が経営する大阪府の相撲道場で、幼少期から相撲の稽古に明け暮れた古市氏は、小中学生の相撲大会で常に上位を争う存在だった。だが、古市氏はプロ入り前「こいつには勝てない」と思った相手が3人いたという。

「まず東京の花田光司(元横綱・貴乃花)、そして和歌山の西崎洋(元小結・和歌乃山)、花田と同じ東京の加藤耕市(2003年アマ横綱)です。加藤はプロ入りしませんでしたが、彼は中学時代の1987年、花田に勝って中学横綱に輝いている。立合いで岩のような加藤の体にぶつかると、背筋に電気が走るような痺れを感じました」

 貴乃花は中学時代、公式の相撲大会で40勝1敗の成績をおさめているが、この時代に唯一、土をつけたのが加藤だった。大器と目されていた加藤であったが、高校卒業後は日体大に進学し、プロ入りはせず教職の道を選んでいる。

「中学卒業後、武蔵川部屋に入門した西崎とは部屋(古市氏は押尾川部屋)も近かったため、悪友になりました。入門から間もない時期、素行の悪さでは横綱級だった僕らは、未成年ながら吉原の風俗街に繰り出したこともありました(笑)」

 幕内で活躍した和歌乃山は現役引退後の2010年、相撲協会を退職している。

 また同期で鳴戸部屋に入門した力櫻(井上猛)は前頭4枚目まで昇進したものの、親方(元横綱・隆の里)との確執から24歳のとき突然、引退を宣言。その後、プロレスに転向し「力皇」のリングネームで活躍した。現在は故郷の奈良県でラーメン店を営んでいる。

プロ初日、デビュー戦の相手は…あの曙!

 前相撲で一番出世を果たした古市氏の実質デビュー戦は1988年5月場所。記念すべきプロ初日の相手は序ノ口19枚目、ハワイ出身の曙だった。

【次ページ】 序二段で2度目の対戦も…「もろ手1発で土俵下まで」

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