2023年M-1・連続インタビューBACK NUMBER
M-1本番中に「前年のほうがウケてたな」「ダメや、負けるときの感じや…」カベポスターが明かす“それでも審査員・山田邦子さんに救われた話”
text by
中村計Kei Nakamura
photograph byShigeki Yamamoto
posted2024/03/31 11:08
2年連続M-1ファイナリストになったカベポスター。永見大吾(写真左)と浜田順平
浜田 楽しみでしたよ。変な意味じゃなくて。
永見 今回は94点をつけてもらえました。高かったですね。
浜田 でも、僕は84点というのを見たときも別にびっくりしなかったですよ。厳しめの点数をつける人なんやろなと思っただけで。それよりも2番手の真空ジェシカの点数が「95」って出て、びっくりしたんです。そんなに差があるんや、って。
永見 ステージ裏で「ほー、そうか」みたいな。その表情を誰にも見せられなかったのが悔やまれますね。カメラが映してくれていたら、「ええーっ! すごい差じゃないですか」みたいなリアクションができたのに。
――前回は点数はともかく審査員コメントは、とても好意的なものが多かったんですよね。ただ、今回は「M-1では……」という意見が目立ちました。もっと長めの尺に向いているネタなのでは、とか。
浜田 よく言われるんですよ。長めの尺の方が……って。でも僕ら、そもそもそんなに長い尺のネタをつくったことがないんで。僕らの中ではM-1用に調整したネタだったんです。だからどこをどうすればいいのか。答えはなかなか出ないですよね。
永見 M-1の雰囲気とか流れの中でやったら、こういうネタもウケるんちゃうかなと思いながらつくってるんです。だから、僕らの中ではM-1で戦えるネタという捉え方なんです。
――M-1だととかく「ボケ数」が重要視されますけど、2人のネタはそこまでボケを詰め込む感じではないですもんね。でも、そのぶん、際立つんですよね。ストーリーがあって、オチも絶妙なので、終わったあと、すごく心地いいし。
浜田 要は、スロースターターだ、ということを言われてるんでしょうね。僕らのネタって、最初からボッカーンみたいなのはなかなかない。そこへいくと、前大会の決勝のネタ(『大声コンテスト』)はボケ数も多いし、最初のボケも早かったので、めっちゃM-1っぽかったんです。それと比べられると、そうやな、という感じはしますね。
永見 でも、山田邦子さんは今回褒めてくれましたから。僕は大満足です。
<続く>
(写真=山元茂樹)