2023年M-1・連続インタビューBACK NUMBER
M-1本番中に「前年のほうがウケてたな」「ダメや、負けるときの感じや…」カベポスターが明かす“それでも審査員・山田邦子さんに救われた話”
text by
中村計Kei Nakamura
photograph byShigeki Yamamoto
posted2024/03/31 11:08
2年連続M-1ファイナリストになったカベポスター。永見大吾(写真左)と浜田順平
浜田 違いました。あのあとに、もう一くだりあったと思います。そこがさほどウケないので、いちばんウケたところで終わりにしたいなと思って。でも、こっちはやってもうたと思ってるのに、審査員の方々に「最後、噛んだところがいちばんおもろかったわ」と褒めてもらえてよかったです。あんなにみんなに褒められることって、そうないですから。
永見 前日、劇場出番でいろいろ試してて、6ステ(ージ)目に「じゃあ、オチはこの形で」ということで落ち着いたんです。
――前日、6回もステージに立ったのですか。
浜田 最初、マンゲキ(よしもと漫才劇場)で3ステぐらい入っていて。もう1ステぐらい試したいなと相談したら、マネージャーが森ノ宮(よしもと漫才劇場)なら3ステ入れられますけど、どうしますか? と。じゃあ、お願いします、って。正直、6ステは多いなと思った。4ぐらいが丁度いいなと思ったんですけど。
永見 その日、試行錯誤しながら、少しずつ変えてやったんです。6ステもなかったら、違うオチになっていたかも。そういう意味ではありがたくなかったですね。
ジャルジャルとミルクボーイの違い
――素朴な疑問なのですが、同じネタを1日6回もやって、飽きてしまうというか、訳わからなくならないのですか。
浜田 同じネタを6連続なんて、初めてでしたからね。こんな変な感じになるんや、と思いました。普段、変やなと思わんところで変な感じになったりするんですよ。もし今年、同じ状況になったら、1回ぐらいはちゃうネタを挟むと思います。
――鮮度を保つために本番前もネタ合わせをしないというコンビもいますもんね。
浜田 ジャルジャルさんとか、そうだって聞きますよね。スタイルの違いもあると思います。僕の場合は、緊張を紛らわすための手段でもあります。練習すればするほど体が覚えといてくれるんで、焦っても勝手に言葉が出てくるんですよ。決勝当日も4、5回はネタ合わせしたかな。不安なので。
――ミルクボーイに話を聞いたときも、時間さえあればネタ合わせをしていると言っていました。
永見 確かにミルクボーイさんは1日何ステもやってるのに、合間合間に、劇場の隅っこの方でネタ合わせをしているのをよく見かけますね。
審査員・山田邦子さんの「84点→94点」
――前大会は初審査だった山田邦子さんの点数が84点と極端に低く、会場をざわつかせました。今回も、山田邦子さんの点数が出るときはドキドキしたのではないですか。