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“飛ばないバット”狂騒曲のウラ側で…青森山田の2選手が異例の「木製バット」を選んだワケは? 背中を押した監督が語った「納得の理念」
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![田口元義](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/7/5/-/img_75003d1c8e96afbf93ce622c330de78e8574.jpg)
田口元義Genki Taguchi
photograph byJIJI PRESS
posted2024/03/22 11:03
![“飛ばないバット”狂騒曲のウラ側で…青森山田の2選手が異例の「木製バット」を選んだワケは? 背中を押した監督が語った「納得の理念」<Number Web> photograph by JIJI PRESS](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/d/b/700/img_db39bef8bac5ea9a93b2580a6f838fd2550103.jpg)
高校生では珍しい「木製バット」で2安打の青森山田の5番打者・吉川勇大。「飛ばないバット」が話題の中で、あえて木製を選んだワケは…?
誰もが「なぜ?」と思う。一度も試さずに木製の使用を決断したのか、という報道陣からの問いについて、吉川が明言する。
「使っているみんなのバッティングを見て『今までより飛んでないな』と思ったんで。練習ではずっと木製を使っていましたし、芯を食うと打球が伸びることを知っていたんで、それを信じて。低反発のバットを使おうという気にはなりませんでした」
金属バットの重量は「900グラム以上」とされているが、吉川が使用するのは木製であるため890グラムと軽い。同じ重さのバットを使用している對馬も、木にこだわる理由について自分の意志を持っている。
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「木はもともと芯を食ったら飛ぶということがわかっていたし、自主練習から使っていたこともあって操作しやすかった」
「右に倣え」の慣例は本当に正しい?
バットが変わるから全員で切り替える――。
對馬と吉川に木製バットを使わせている理由からも窺えるように、兜森は「右に倣え」の慣例に対して常に従順というわけではない。
わかりやすい例に髪型がある。
青森山田は、高校野球で「長髪」というワードが躍りつつあった2017年から制限を解除している。この判断について兜森は、「あくまで学校とかと話し合って決めたことです」としながらも、「髪型自由」への持論を示す。
「『後々、当たり前になってくるだろう』とは思っていました。彼らが将来、社会に出ていくうえで、すぐに役立つことではないのかもしれませんけど、自由というものを意識させることで、少しでも通用する人材になるための準備期間という意味も込めてですかね」