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バスケットボールPRESSBACK NUMBER
《パリ五輪出場決定》は「ホッとしすぎてヤバかった」女子バスケ代表主将・林咲希が激白した最終予選の舞台裏「試合前はみんな顔が強張って…」
text by
石井宏美Hiromi Ishii
photograph by(L)AFLO、(R)Kiichi Matsumoto
posted2024/02/24 11:04
パリ五輪出場を決めた世界最終予選でプレーする林。前回大会銀メダルのプレッシャーは大きかったと振り返る
「結構苦しかったですね。カナダは着々と強くなってきたチームでトム(・ホーバス/現男子日本代表HC)さんの頃から、何度も対戦してきた相手。以前は日本が勝つことが多かったけれど、向こうも徐々にアジャストしてきて、日本っぽくガード3人で戦ってくることもあってかなり戦いづらい印象がありました。しかもリング下で(ガードが)センター以上に落ち着いている。今回も“やっぱりカナダは強いな”と感じながらプレーしていました」
試合はどちらに転んでもおかしくなかった。
最終的に試合を決定づけたのは、「走り続けるとか、最後まで声を出し続けるという泥臭いことをやれたことが、勝ちにつながった」と林は勝因を分析する。
「勢いはどの国にも劣らないと思っています。世界に比べると身長やフィジカルが足りないだけで、窮地に陥ったときに1人1人が発揮する力やチームが1つにまとまる力は、どの国にも負けないものがある。それはこの最終予選を通じてあらためて感じた部分です。スキルアップはもちろん、フィジカルを強化していけばもっと戦えるのかなという自信もありますね」
吉田亜沙美、馬瓜エブリン…復帰組の存在感
今回、最終決戦を前に代表に復帰したベテラン吉田亜沙美や東京五輪後1年間休養していた馬瓜エブリンの存在も大きかった。
「やっぱり、リュウ(吉田亜沙美)さんはいるだけで雰囲気が違うんですよ。それを今回あらためて感じました」
長きにわたりENEOSを引っ張り、2016年のリオ五輪では主将を務めていた8歳年上の吉田は「緊張する存在」だった。林も様々な経験を経て自信をつけ、「今回はあまり緊張せずリュウさんとプレーできた」という。
カナダ戦後、林が吉田とハグを交わしたシーンには、その思いが凝縮されていた。
「練習では一番声を出してくれましたし、苦しいときでも自分の精一杯を出そうという姿勢に本当に支えられました。試合に出たときにもたらす安定感はさすがでしたし、ボールをなくさないところ、予想しないところにパスを出すのは、1つの強みになっていたと思います」
「今までシュートが入る度にああやって盛り上がる人は初めて見た(笑)」という馬瓜エブリンの明るさや“覇気”の大切さも痛感した。
<後編につづく>