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バスケットボールPRESSBACK NUMBER
《パリ五輪出場決定》は「ホッとしすぎてヤバかった」女子バスケ代表主将・林咲希が激白した最終予選の舞台裏「試合前はみんな顔が強張って…」
text by
石井宏美Hiromi Ishii
photograph by(L)AFLO、(R)Kiichi Matsumoto
posted2024/02/24 11:04
パリ五輪出場を決めた世界最終予選でプレーする林。前回大会銀メダルのプレッシャーは大きかったと振り返る
だが、五輪出場獲得に王手をかけた翌日のハンガリー戦では、ランキングでは格下のハンガリー相手に立ち上がりから主導権を握りながらも、75-81と敗戦を喫す。
「もちろん油断はなかったし、いい雰囲気でプレーできていたと思います。序盤は日本の流れでした。ただ自分たちのミスもありましたし、なかなかシュートも決まらなくて。相手の地元ということでそれも大きく影響したと思います」
44年ぶりの五輪出場を願う本拠地の大声援に圧倒された。
「声援がものすごくてお互いの声が至近距離でも聞こえなかったんです。フリースローのときに、“次、これやるよ”と言っても、共通認識できなかったくらい。それで次のオフェンスでミスしてしまうことが何度もあって。そういうときは誰かしらがフィーバーしないと日本は結構きつい。
あの日は山本(麻衣)が最後決めましたけど、相手にも入れ返されることが何度もありました。最後まで諦めず、『絶対にやるよ』とお互いに声を掛け合っていましたが、ハーフコートオフェンスになってしまったり、ディフェンスでミスが出てしまったり……。コート内での戦い方が不明確になっていましたね」
ハンガリー戦後には「選手だけでミーティング」も…
ハンガリー戦での逆転負けはショックよりも、“やってしまった”という自責の念に駆られることに。翌々日にはカナダ戦が控える。キャプテンとして心がけたのは、いかにチームがいい雰囲気を保てるか、だった。
翌日のミーティングではオフェンス、ディフェンスで自分たちのコンセプトをすり合わせた。チーム全体のミーティングが終ると、選手のみが残り、再度徹底した。
「自分たちがやりたいバスケットボールを出して帰ろうとみんなで話し合いました。本当に良い時間だったと思いますし、その時にはもうみんな気持ちをしっかりと切り替えられていましたね」
序盤から両チーム譲らない展開が続いたカナダとの運命の一戦は、日本がわずかに抜け出し3点をリードし、最終第4クォーターへ突入した。一進一退の攻防が続くも、最後は粘る相手を突き放し、86-82で接戦を制した日本。お互いに一歩も譲らない息を呑む展開。これまで何度も激戦をくぐり抜けてきた林は、一体何を考えながらプレーしていたのか。