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「成長には、常に窮地にいることが必要」女子バスケ代表主将・林咲希が五輪イヤーに“移籍決断”のワケ…「パリは去年の男子以上に盛り上げたい」
posted2024/02/24 11:05
text by
石井宏美Hiromi Ishii
photograph by
Kiichi Matsumoto
東京五輪で銀メダルを獲得した女子バスケ日本代表が、今夏のパリ五輪出場を決めた。世界最終予選では、世界ランクで格上のスペイン、カナダに劇的な勝利。グループ1位で出場権を手中に収めた。
そんなチームのキャプテンを務めたのが28歳の林咲希(富士通レッドウェーブ)だ。歴史に名を刻んだ前回五輪から3年。日本の大黒柱は、今季、所属チームを移籍し新たな挑戦をスタートした。なぜ、大切な五輪イヤーにそんな大きな決断を下したのか。その裏にあった想いとは。<Number Webインタビュー全2回の第2回/第1回も配信中>
「東京五輪銀メダル」という重圧
2021年に開催された東京五輪で、男女を通じて日本バスケットボール界初の銀メダル獲得という快挙を成し遂げた女子バスケットボール日本代表チームにとって、この2年半は重圧を感じながらのプレーでもあった。
同年よりチームでキャプテンを務めた林咲希は、今回パリ五輪の切符を掴んだ最終予選を振り返ってこう語る。
「帰国直後の会見では(プレッシャーは)『あまりなかった』と言っていたんですが、正直なところ……めっちゃありました! OQT(五輪世界最終予選)のときは、その気持ちを押し殺して、一旦別の場所に置いて戦っていました。とにかくやることはやってきたんだから、あとは自分たちがやるだけだなって。その気持ちだけでコートに立っていました。
東京五輪以降、昨年のアジア杯決勝で中国に負けたり、勝った試合でもあまりすっきりとした勝ち方ができていませんでした。でも結果を出し続けるしかないし、自分たちがやれることを精一杯やろうとシンプルに考えていました。ただオリンピックで銀メダルを獲ったチームがオリンピックに出られないことは、自分がパリに出る、出られないは関係なく、今後のバスケットボール界のことを考えてもよくない。泥を塗ってしまうんじゃないかというプレッシャーはありましたね。
それに今回の最終予選に出られなかった選手のチャンスも奪ってしまうわけじゃないですか。これまで積み重ねてきたことを信じて最終予選には臨んでいましたが、ふと1人になったときに、そんなことを考えたことが何度もありました」
高田真希の後を引き継ぎキャプテンを務めていた林が、最も重圧を感じていたのは準優勝した2023年のアジアカップの頃だ。当時を振り返る。