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22戦21勝、勝率9割5分4厘…1988年の記録を35年ぶりに更新したホンダがパワーユニットに施した知られざる努力 

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尾張正博

尾張正博Masahiro Owari

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posted2023/12/15 11:00

22戦21勝、勝率9割5分4厘…1988年の記録を35年ぶりに更新したホンダがパワーユニットに施した知られざる努力<Number Web> photograph by Masahiro Owari

2023年のレッドブルの快進撃を支え、35年ぶりの最高勝率記録更新に貢献したホンダの現場スタッフたち

「あの記録をホンダが達成したとき、私はまだ4歳だったのでリアルタイムでは見ていませんが、その後F1を見るようになって16戦15勝という記録を知り、『ホンダって、こんなに強いんだ』と感動したことが、その後この世界を目指すきっかけとなりました。私に限らず、ホンダのスタッフにとって『1988』や『1615』、そして『15』という、あの記録にちなんだ数字はとても大切なんです」

 23年のホンダはレッドブルとともに16戦15勝した88年の開幕11連勝という記録を破り、連勝記録を「14」まで伸ばした。しかし、続くシンガポールGPでシーズン初の黒星を喫した。

 全24戦が予定されていた23年のF1は、中国GPとエミリア・ロマーニャGPが中止となって22戦で争われることになっていた。それにより、シンガポールGPを落としたホンダが16戦15勝の勝率を上回るには、最終戦までもう1つも落とせない状況となった。

 レッドブルはシンガポールGPの後日本GPでコンストラクターズタイトルを確定させ、その直後のカタールGPではマックス・フェルスタッペンがドライバーズチャンピオンに輝いた。23年のタイトル争いには決着がついたが、ホンダの戦いは最終戦まで続いていた。

35年越しの挑戦

 23年からHRCのトラックサイドゼネラルマネージャーとして現場を統率していた折原伸太郎は、シーズン終盤の緊張感を次のように振り返った。

「88年から35年後に訪れたチャンス。ここまで積み上げてくるまでに相当な時間がかかってきたので、もし今回達成できなければ次にチャンスが巡ってくるまで、またとんでもない時間がかかることになってしまう。そう考えると、プレッシャーは一戦ごとに高まりました」

 そんななか、レッドブルに搭載されたホンダ製のパワーユニット(PU)はトラブルを発生させることなく、シンガポールGPでの敗戦以降、最終戦まで勝ち続けた。結果的にホンダのPUは、シーズンを通して深刻なトラブルが一度も生じない高い信頼性を披露した。

【次ページ】 前人未到の勝率10割

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