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卓球PRESSBACK NUMBER
「仲良しグループ的な感じはなかった」銀メダリスト・平野早矢香が語る“卓球女子団体”チームワークの舞台裏「本番より代表選考の方がキツい」
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph byKiichi Matsumoto
posted2023/12/02 11:03
ロンドン五輪の卓球女子団体銀メダリスト平野早矢香さん
あのロンドン五輪も「仲良しグループ的な感じはなかった」
平野さんは石川佳純さん、福原愛さんと3人でチームを組んだロンドン五輪の女子団体で、日本勢として史上初のメダルとなる銀メダルを獲得した。現在の卓球界の隆盛の第一歩だ。
――3人で力を合わせて戦った経験から、メダルを取るには何が大事だったと言えるでしょうか。
平野 今の選手たちもおそらく同じだと思うんですけど、卓球は個人種目なので、日頃からみんなで集まって練習しているわけではなく、選手それぞれが母体を持っていて、そこで強化をしていることが多いのです。それに個人戦であれば対戦することもあるので、いつも一緒にいる仲良しグループ的な感じはなく、ある意味みんながライバルです。
――ロンドン五輪の時も、日頃はそれぞれが強くなるための練習が主軸だったと。
平野 ただ、ロンドン五輪の時は、“ここでメダルを取れなければ、この先にメダルを取れる時はあるのだろうか”というくらい、年齢的にもそれぞれのレベルや経験値を考えても、良いバランスの3人が集まっていました。ここを逃したら、という気持ちは3人ともあったので、『絶対にメダルを取るんだ』という思いは強かったですね。なので、練習や試合はもちろんですが、選手村の部屋の中でもどうやって勝つかを考えていました。日頃はライバルであっても、日本初のオリンピックのメダルに対する思いはみんな強く、グッとまとまっていたと思います。
――平野さんはミキハウスの後輩でもあった石川さんとダブルスを組んで団体戦に臨みました。
平野 五輪に向けては大会の1カ月半くらい前から合宿をして、対策練習をしました。ただ、準決勝のシンガポール戦は、もともと福原選手と石川選手がダブルスを組む予定で、韓国のカットマンとの対戦になったら石川選手と私がダブルスを組むことになっていました。その予定を急遽変えて私と石川選手が組んだのですが、私たちはナショナルチームとは関係なく、ミキハウスにいる時からダブルスも組んでいたので、シンガポール対策はしていなかったのですが、それまでの経験を生かし勝つことができました。
「絶対に泣いちゃいけない、と思っていたいのですが…」
平野さんと石川さんは8歳違い。石川さんが大阪・四天王寺羽曳丘中学に入学してからの6年間は同じ練習場でともに汗を流していた間柄だ。石川さんは高校卒業後、全農に所属。その後もナショナルチームで一緒に遠征をしたり、ダブルスを組んだりしていた。
――石川さんと最初に出会った時の印象を覚えていますか?
平野 佳純が小学校5年生ぐらいの時に初めて見たのですが、その時から『絶対に強くなる子だな』と思いましたね。すごく高い投げ上げサーブを出す、うまい小学生だなと思いましたし、ボールタッチもすごく良かったのを覚えています。