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モータースポーツPRESSBACK NUMBER
「レースクイーンは必要か?」女王・藤井マリーにズバリ聞いた“不要論“「私の個人的な意見ですが…」「モータースポーツの存在すら忘れられてしまう」
text by
田中仰Aogu Tanaka
photograph byShiro Miyake
posted2023/11/19 11:01
F1の世界ではグリッドガールが廃止され、レースクイーン的存在は世界的に見れば稀だ。日本ではなぜ必要とされているのか、トップレースクイーンに聞いた
どうしてレースクイーンという“職業”が批判されるのかな
――今年3月、レースクイーンの中から最も活躍した人が表彰される「レースクイーン・オブ・ザ・イヤー22-23」を受賞。文字通り“女王”に上り詰めましたが、10月に自身のSNSで「卒業」を発表。どういった経緯で決断されたのですか。
藤井 レースクイーンとしてモータースポーツの魅力を知るほどに、どうにかして世間一般に向けて、知名度や人気を高められないかな、と思うようになって。
――ちなみに今、世界に目を向けると、「現代の社会規範にそぐわない」という理由からF1で「グリッドガール」が5年前に廃止されました。“レースクイーン”がなくなっていく傾向について、藤井さんはどう見ていますか。
藤井 私の個人的な意見ですが……今の時代は、一般の女性が好んで、水着姿や少し際どい服装をInstagramやTikTokにアップしてますよね。そうしたカルチャーが広がっているのに、どうしてレースクイーンという“職業”が批判されるのかな……と少し不思議に感じています。ドライバーやエンジニアが0.001秒を早くするために努力する、レースクイーンがトークショーやSNSでPRをする。私たちもモータースポーツ界の一員として認められるように、と思って活動しています。
業界外への情報発信はレースクイーンがやりやすい
――レースクイーンの必要性は確実にある、と。
藤井 私はそう思います。ある時、伝説的なドライバー・土屋圭市さんが言ってくださったんです。「レースクイーンがお客さんを呼んでくれてるよ」って。もちろん、SNSで積極的に発信されているドライバーさんもいます。ただスポンサーさんとの兼ね合いがあって、言えないことも多いし、PRの方法も限られてくると思うんです。その点、レースクイーンだからこそモータースポーツ全体を盛り上げられるのかなって。
シーズン中も年8回。1ヵ月のうち基本的に2日しかレースがないので、意識的に発信していかないとモータースポーツの存在すら忘れられてしまう。レースの告知だけでなく、レース以外の日は何をやっているのか。日頃からコスチュームを載せたり、どんな裏方さんがいるのか伝えたり、業界外への情報発信はレースクイーンがやりやすいんです。地上波放送もないですし、F1ほどプロモーションにお金はかけられないとも思うので。