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モータースポーツPRESSBACK NUMBER
「レースクイーンは必要か?」女王・藤井マリーにズバリ聞いた“不要論“「私の個人的な意見ですが…」「モータースポーツの存在すら忘れられてしまう」
text by
田中仰Aogu Tanaka
photograph byShiro Miyake
posted2023/11/19 11:01
F1の世界ではグリッドガールが廃止され、レースクイーン的存在は世界的に見れば稀だ。日本ではなぜ必要とされているのか、トップレースクイーンに聞いた
藤井 実は、給料はかなり下がりました。会社員から個人事業主になりましたし。コロナ前までは、平日はアルバイト、土日はレースクイーンをして東京でひとり暮らしだったり友達とルームシェアをしたりしていました。今は実家で暮らしています。
――どのようなアルバイトを?
藤井 壁紙屋さんで働いていました。壁紙の注文が入ったら、カットした壁紙にサイズを記入した伝票を貼ってドライバーさんに渡して、という仕事を淡々と……。土日とのギャップが私にとって大切だった気がします。というのも、“藤井マリー”は人前に立つのが好きだけど、そうじゃない時の私は黙々と作業するのも好き。ほとんど別人といっていいくらい違うんです。だから、淡々とアルバイトをすることで精神的なバランスを保っていたのかな。
父にはレースクイーンのことはほとんど話してません
――パキスタン人のお父さまが失踪中に母国で結婚されていたという青春時代のお話、レースクイーンとアルバイトの掛け持ちで休みなしの生活と、ハードなご経験も、すごく前向きに捉えていますよね。
藤井 もともと、少し器用というか、置かれた状況を楽しめるような耐性があるのだと思います。デンジャラスな人生経験に鍛えられたのかな(笑)。ただ宗教上、女性がおへそを出す服装でいることに抵抗があると思うので、父にはレースクイーンをやっていることはほとんど話してません。
――あらためて、レースクイーンとして見てきたモータースポーツの魅力はどこにありますか。
藤井 一見、個人スポーツのようですが、実態はこれ以上ないほどのチームスポーツです。ドライバーさんのみならず、レーシングカーを設計・メンテナンスされるエンジニアさん、レース中にタイヤ交換や給油をするメカニックの方々……。レース当日を迎えるまで、みんな夜まで練習をして、0.001秒を縮めようとする姿に胸を打たれました。レースの迫力とともに、舞台裏のドラマについても、多くの人に知ってもらいたいですね。