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藤井聡太21歳「モチベーションが上がります」と嬉しそうに語る公開対局の舞台ウラ「序盤は解説の声が耳に入りますが…」中村太地八段に聞く

posted2023/11/15 17:06

 
藤井聡太21歳「モチベーションが上がります」と嬉しそうに語る公開対局の舞台ウラ「序盤は解説の声が耳に入りますが…」中村太地八段に聞く<Number Web> photograph by Shiro Miyake

JT杯準決勝、藤井-永瀬の一コマ。多くの観客が妙手を見守った

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茂野聡士

茂野聡士Satoshi Shigeno

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Shiro Miyake

 八冠全制覇を達成した藤井聡太竜王・名人の勢いは、とどまることがないんだろうか……。

 そう思いたくなるほどの強さである。

 10月に開幕した第36期竜王戦、藤井は同学年の伊藤匠七段(21)を相手に4連勝を飾って2度目の防衛を果たした。11月10、11日に行われた第4局で今年の八大タイトル戦はフィナーレを迎えたが、それ以外の公式戦でも……注目の対局が続く。

 その代表例が「2年連続の一般棋戦グランドスラム挑戦」である。

 2022年度は将棋日本シリーズJTプロ公式戦(以下JT杯)、NHK杯、銀河戦、朝日杯将棋オープンの4棋戦も藤井がすべて制し、史上初の偉業を達成したことが話題になった。少し気が早いが……それを2年連続で達成する可能性を有しているという事実に、湧くのは畏敬の念ばかりである。

前日会見で藤井、永瀬ともに朗らかなムードだった

 藤井は10月21日に大阪で開催されたJT杯準決勝で、永瀬拓矢九段と対戦。84手で勝利して3年連続での決勝の舞台に駒を進めた。「持ち時間各10分。持ち時間を使い切ったら1手30秒未満。考慮時間各1分×5回」という超早指し戦でも強さを発揮しているワケだが……興味深かったのはその前日に行われた両対局者の会見だった。

「藤井-永瀬」と言えば、10月11日に京都・東山で王座戦第4局――壮絶な大逆転の末に藤井が八冠達成した、あの一局だ――が行われたばかり。そこから10日ばかりの感覚での再戦ということでどんな雰囲気だろうと現場に向かったところ……。

「公開対局という形で行なっていただいていますので、すごくモチベーションの上がる棋戦だと思っています」(藤井)

「拍手して頂くことによって、力をもらうというのはありますね。大阪大会も本当に多くの方に来場して頂けるみたいですので」(永瀬)

 もちろん公式戦という真剣勝負である大前提は確かだが、2人とも笑顔が見えて、想像以上に朗らかな雰囲気だった。

公開対局で棋士はどんな感覚になっている?

 そんな2人も触れている通り、JT杯は〈公開対局〉という形で開催されている。将棋ファンならおなじみだが、八大タイトル戦はもちろん、順位戦などの公式戦は一般には非公開(プレミアムプランでの見届け人なども一部存在するが)で進んでいく。その中でJT杯と朝日杯将棋オープンは公開対局という形がとられている。

 そこで1つ、素朴な疑問が。

 観客が入ることで、棋士はどんな感覚になっているのだろう?

【次ページ】 こども大会優勝経験者は藤井に加えて…

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