第100回箱根駅伝(2024)BACK NUMBER
関東地区以外にも門戸を開放した箱根駅伝予選会。「出てよかった」と充実感をにじませた選手たちの声と、まだ残る課題
text by
藤井みさMisa Fujii
photograph byYuki Suenaga
posted2023/10/31 10:00
第100回箱根駅伝予選会後に、取材に対応する皇學館大学の寺田監督
「箱根駅伝は特別」を改めて感じた箱根駅伝予選会
箱根駅伝予選会までの強化の取り組みや位置付けは大学によってさまざまだが、出場した選手やスタッフが口々に言うのは「これを経験できて良かった」「人の多さ、大会の大きさに圧倒された」ということだ。関東地区以外では、これほど大規模な大学の大会はない。特に2023年度は新型コロナウイルスによる制限がすべて撤廃され、2019年以来の声出し・集団応援が可能となり、公園内、沿道ともに応援する観衆の数も驚くほど多かった。大観衆の中で走る、関東の実力者と走る、ということだけでも刺激となり、価値と感じた大学が多かったのではないだろうか。
今後、関東地区以外に門戸を開放するかは不透明で、この1回限りとなる可能性もある。皇學館大の寺田監督は「今回だけじゃなくて定期的に開催していただければ日本全体の活性化になると思います。やっぱり関東に(選手が)集中していると思うので、もし関東地区以外の大学が参加できるようになれば地元に残って目指す子もいると思いますし、全国から目指す選手がいた方が、やっぱり面白いじゃないですか。でもそうなると、全日本大学駅伝の意義は、という話になってもくるので、いろいろと難しいとは思うんですが」と笑いながらも提言した。皇學館大としては、コースの近くに大学がある全日本大学駅伝を重要視しているし、それは変わらない。だが全日本大学駅伝に出場するとしても、箱根駅伝予選会へのチャンスがあれば何度でも挑戦したいと話す。
「やっぱり箱根駅伝って特別なので」という寺田監督の言葉がすべてを象徴している。レース後は、ステージの前や公園内で関東地区以外の大学の選手たちが記念撮影をしている姿も多くみられた。今回この1回だからということで思い切って参加した学校も多い。しかし恒常的に関東地区以外に門戸を開放するとなると、費用面での負担などが関東地区以外の大学に大きくかかってくることにもなるため、一概に「やるべき」とも言えない。箱根駅伝予選会を経て、改めて箱根駅伝という大会の存在の大きさを感じ、考えさせられる機会となったことは間違いない。