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「セクハラかも」“生理との向き合い方”に悩む男性へ、元五輪アスリートが指南「当たり前のことですが、自分が言われて嫌な聞き方は…」
text by
伊藤華英Hanae Ito
photograph byNaoki Morita/AFLO
posted2023/10/31 11:03
伊藤華英さんは引退後のセカンドキャリアでも、アスリートの社会的価値を上げる活動に邁進している
まずは一人ひとりが生理の正しい知識を得ること。それを一人の中で留めておくのではなく近くの人とも共有する。そして「これはいい」「知ってほしい」と思うことを周りにも広げていく。
一つひとつの段階があるのですが、その第一段階である指導者や上司、親といった大人たちが「知らない」状態のままで終わっていたら、前に進むことも、横につながることもありません。理論として知識を得ると、大事なことへの理解が進むという感触もあります。私たちも学んでいる最中です。
自分が言われて嫌な聞き方、言い方はしない
しかし、あまり知識を深めず、「生理を理解しなきゃ」と先走るから「今日生理?」といきなり尋ねてしまうことがある。それでは「なぜ、あなたに言わなければならないの?」と相手との間に壁が生まれる可能性もあります。体調はその人にとって最も個人的な部分ですから、オープンにできる人もいれば、オープンにしたくない人もいる。アプローチの仕方も異なります。
お互いにとって嫌なことはしない方がいいのは当たり前ですが、なかなか相手の立場に立てず難しい場合もあるはずです。たとえば、ニキビで悩んでいる時に不躾に肌の状態のことを指摘されたら、男性でも女性でも不快になりますよね。自分が言われて嫌な聞き方、言い方はしない。当たり前のことですが、それこそが、お互いを思いやることにつながると思います。
<第1回、第2回から続く>
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