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「セクハラかも」“生理との向き合い方”に悩む男性へ、元五輪アスリートが指南「当たり前のことですが、自分が言われて嫌な聞き方は…」

posted2023/10/31 11:03

 
「セクハラかも」“生理との向き合い方”に悩む男性へ、元五輪アスリートが指南「当たり前のことですが、自分が言われて嫌な聞き方は…」<Number Web> photograph by Naoki Morita/AFLO

伊藤華英さんは引退後のセカンドキャリアでも、アスリートの社会的価値を上げる活動に邁進している

text by

伊藤華英

伊藤華英Hanae Ito

PROFILE

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Naoki Morita/AFLO

アスリートの“心身両面におけるコンディション・健康”をよりよいものにするため、必要なものとは――かつて競泳日本代表として北京、ロンドンと2回にわたってオリンピックの舞台に立った伊藤華英さんの著書『これからの人生と生理を考える』(山川出版社)より一部転載します。(全3回の第3回目/第1回第2回からの続き)

 女性は生理があるから大変だ。いたわってあげよう。そう思ってくれるのは一人の女性としてありがたいな、と思います。

 だからといって、いきなり職場で上司(男女問わず)にこんな風に切り出されたらどう感じますか?

「今日、生理だからしんどいんでしょ?」

 これを生理中であってもなくても女性が聞いたらどう感じるでしょうか。「嫌な気持ち」にならないでしょうか。もしかしたら、セクハラだと感じてしまうかもしれませんよね。

どこからがセクハラになるの?

 しかし、生理について気遣ったほうがいいと言われているのに、「どうやって気遣えばよいのだろう」。そう感じてしまうのはよくわかります。理解したいから気遣っても、逆効果になってしまう。努力をしたところで最悪の場合、セクハラだと言われてしまう。戸惑ってしまう気持ちもわかります。

 ここでは、生理の考え方を改めて一緒に知っていきましょう! ということを、特に男性に読んでもらうことも意識してお話ししていきます。

 まず「生理の日はしんどい」と決めつけるのはミスリードでもあります。

 人はそれぞれ、生理の症状は異なります。むしろつらそうに見えるのであれば、「生理とは言わずに」間接的にコンディションを尋ねてみるのがよいかと思います。そして原因が生理であるという声が女性から出た場合には、従業員は会社の制度や窓口を利用できることを紹介したうえで、「腹痛や頭痛、しんどい症状があって、こうしてほしいという職場に対する要望があるなら教えてもらえるかな」などと提案する。それならば、声をかけられた人は決して「セクハラ」とはとらえないはずです。

コンディションが悪い時に気遣うのは男女の関係はない

 そもそも仕事もできないほどに痛みがひどい、貧血で立っていられないといった症状が出る場合、自己判断ではなく婦人科へ行ってほしいです。病院を受診したらどうか、とうながすのは決してセクハラではありません。風邪をひいた人に「病院で診てもらいなさい」、歯が痛くて苦しんでいる人に「歯医者へ行きなさい」と言うのと同じことです。

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伊藤華英
北京五輪

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