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「セクハラかも」“生理との向き合い方”に悩む男性へ、元五輪アスリートが指南「当たり前のことですが、自分が言われて嫌な聞き方は…」
text by
伊藤華英Hanae Ito
photograph byNaoki Morita/AFLO
posted2023/10/31 11:03
伊藤華英さんは引退後のセカンドキャリアでも、アスリートの社会的価値を上げる活動に邁進している
男女はお互い身体が違うので、体験しない限りわからないかもしれません。でも同じ職場で働くのであれば、男女に関係なくコンディションが悪い時に気遣うのは、同じ空間で働く、過ごすためには大切なことだと思います。あまりにつらい時には「無理しないで、病院で一度診てもらったほうがいいし、体調が悪い場合には会社の制度が使えることもあるよ」とうながすなど、その女性の健康のためのアクションをしてほしい。
そして女性側も「わかってくれないだろう」と心を閉ざしてしまうのではなく、伝え方のスキルを持つことです。たとえば、ただ単に「生理痛でお腹が痛い。苦しい」と言うのではなく、「生理痛がひどくて、普段が10段階のうち4段階の痛みだとしたら、今日は8段階に達するぐらいの痛みです」と伝えられたら、聞くほうも「それはつらい」と理解しやすい。職場に限らず、学校ならば先生や部活の指導者の方々にも共通するのではないでしょうか。
「女子選手は追い込まないといけない」のか?
社会は変わってきたとはいえ、教育の分野やスポーツ界に目を向けるとまだまだ変化が必要なことはたくさんあります。特に学生スポーツは選手と指導者が対等ではないことが多く、話しかけることも難しいような関係も存在すると思います。
「女子選手は追い込まないといけない」という話をよく聞きました。当時は「そうなんだ」と受け止めていましたが、よく考えてみればみるほど、「どうして?」と思っています。ある青年期の学生を対象にした調査によると、男性よりも女性のほうが友人との親しい人間関係を望む親和欲求が高く、信頼の共有や協調性を重視しているそうです。
さらに、科学的なフィジカルトレーニングやメンタルトレーニング、栄養指導など、専門的分野からアスリートの環境を整える意識が進む中、女子選手は追い込まなければならないという根拠はないですよね。
コンディショニングとして生理についての情報を発信する
そして、変化が求められるのは指導者だけでなく、保護者も同じです。