酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
「走者出しても防御率1.03」オリ平野佳寿“39歳守護神のキャリアハイ”…ドキドキな“WARNING四者凡退”で245セーブは歴代何位?
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byJIJI PRESS
posted2023/09/05 06:00
オリックスの守護神・平野佳寿。39歳の今もなおバファローズの最後を締める
〈日米通算でのセーブ数10傑〉
407 岩瀬仁紀(1999-2018)
381 佐々木主浩(1990-2005) NPB252+MLB129
313 高津臣吾(1991-2007) NPB286+MLB27
245 藤川球児(1999-2020) NPB243+MLB2
245 平野佳寿(2006-) NPB237+MLB8
234 サファテ(2011-2021) NPB234+MLB0
234 小林雅英(1999-2011) NPB228+MLB6
228 松井裕樹(2014-)
227 山崎康晃(2015-)
216 益田直也(2021-)
平野は現時点で、藤川球児と並ぶ日米通算245セーブ。あと「5」で名球会の基準に到達する。実は2019年から「数字に到達しなくても、会員の4分の3以上の賛成を得ることができれば、特例枠として入会できる」制度になっていて、藤川がこの基準で名球会入りしているが、平野は特例でなく数字で名球会入りしたいところではないか。
救援投手は「ペナントを制する最重要ポイント」だけに
NPBがセーブ制度を導入したのは1974年のことだ。半世紀近くが経過したが、救援投手の地位は、先発投手と比較して高いとは言えなかった。
上記セーブランキングに載っている投手では、佐々木主浩と高津臣吾が野球殿堂入りを果たしている。岩瀬仁紀も引退後5年を経過したので来年には表彰対象者となるが、救援専門投手の殿堂入りは今のところこの3人だけだ。
しかし今のNPBでは救援投手は間違いなく「ペナントレースを制する最重要ポイント」になっている。強いチームには絶対的なクローザーと優秀なセットアッパーによる「勝利の方程式」ができているのだ。
中には最下位、中日のライデル・マルティネスのように“宝の持ち腐れ”もいるが、平野佳寿のようなクローザーは「至宝」と言ってもよい。
150S+150Hを達成した投手は4人しかいない
平野佳寿について記録面でもう1つ付け加えるなら、平野はクローザーだけでなくセットアッパーとしても偉大な成績を残している。
NPBで150セーブと150ホールドをともに達成した投手は4人しかいない。()のカッコ内は現役投手の所属チーム。
藤川球児 243S 163H
平野佳寿 237S 155H(オ)
益田直也 216S 164H(ロ)
増井浩俊 163S 158H
ホールドは2005年から導入された新しいスタッツで、それ以前の投手にはつかなかった。クローザーは同点のケースで登板した時などホールドがつくこともあるが、セットアッパーだった時期がなければ100ホールド以上を記録するのは難しい。
この4人はセットアッパーとしてもクローザーとしても実績を積んだ「救援のオーソリティー」だと言えよう。