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「走者出しても防御率1.03」オリ平野佳寿“39歳守護神のキャリアハイ”…ドキドキな“WARNING四者凡退”で245セーブは歴代何位? 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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posted2023/09/05 06:00

「走者出しても防御率1.03」オリ平野佳寿“39歳守護神のキャリアハイ”…ドキドキな“WARNING四者凡退”で245セーブは歴代何位?<Number Web> photograph by JIJI PRESS

オリックスの守護神・平野佳寿。39歳の今もなおバファローズの最後を締める

 対戦打者数が多くなれば成績は悪くなるはずだが、防御率1.03はパ1位、セを含めれば中日のライデル・マルティネスに次いで2位と非常に優秀だ。平野は当初は先発投手で、2010年から救援に転向したが、それ以降のBF/IPも3.97と4に近い。まさに「四者凡退」が基本だったのだ。

 端的に言えば平野佳寿は「走者を背負ってから本領発揮する」と表現していい。味方ベンチやファンも冷や冷やさせながら、最後は抑えてセーブをとる。ショーマンシップ豊かな投手なのだ。

 平野がこうした投球ができるのは「並みはずれた度胸がある」からだろうが、投球としては今でも150km/h超の勢いのある速球を投げられるのが強み。さらに「お化けフォーク」。速球と変わらない球筋から大きく落ちる。外国人打者の中には「お手上げだ」という表情を浮かべる選手もいる。

 そしてなんといっても制球力。今季は37試合に登板して12個しか歩かせていない。実は今年、9イニング当たりの奪三振数(K9)は昨年の8.22から5.40と低下している。三振を奪えなくなっているのだが、その分、打たせて取る技術が進化している。「WARNING」が響くとオリックスファンもドキドキするが、最終的にはそのドキドキを楽しむ結果になることが多いのだ。

オリックス黄金期の守護神であり続けた

 平野佳寿は、夏の甲子園第1回大会優勝校の京都二中の流れをくむ京都府立鳥羽高から京都産業大を経て2005年の大学・社会人ドラフトでオリックスに入団した。当初は先発投手だったが、2010年に救援投手に転向、最多セーブと最多ホールド1回ずつ。2017年WBC日本代表メンバーでもあった。

 2018年にMLBダイヤモンドバックスに移籍し、マリナーズでもプレー、通算9勝9敗8セーブ48ホールドを記録する。特に2018年のダイヤモンドバックスではセットアッパーとして32ホールドを記録。チームの信頼を得た。2021年、オリックスに復帰してからも3年連続で20セーブ以上を記録している。

 中嶋聡監督は過去3年、平野が疲労していると見るとヒギンス、ワゲスパック、阿部翔太、山﨑颯一郎などを臨時のクローザーにしてしのぐが、回復すれば再び平野を上げていた。お役御免にはしなかった。それだけ得難い存在なのだ。また平野も指揮官の期待に応えてきた。

 オリックスはリーグ3連覇が秒読みになっているが、この間の「守護神」は間違いなく平野佳寿だったのだ。

日米250Sで名球会入りしたのは過去3人だけ

 プロ野球名球会は「日米通算で250セーブを記録した投手」にも入会資格があると規定を改めている。

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