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落合博満以来のホームラン王へ…ロッテ・ポランコ「ノーパワーだった」原点からの才能開花と“愛されキャラ”を支えるレジェンド左腕の金言
posted2023/09/05 11:02
text by
梶原紀章(千葉ロッテ広報)Noriaki Kajiwara
photograph by
Chiba Lotte Marines
打った瞬間にそれと分かった。夏の夜空に虹のように綺麗な弧を描き、打球はライトスタンドに吸い込まれていった。ファンの大歓声を浴びながらグレゴリー・ポランコ外野手が悠然とダイヤモンドを1周する。9月3日、ZOZOマリンスタジアムでのイーグルス戦。これが本拠地で16本目となる23号本塁打(野外球場が大好きでZOZOマリンスタジアム16本、楽天モバイル4本。その他、ドーム球場が3本)。ついにホームラン王争いでパ・リーグトップのイーグルス・浅村栄斗と肩を並べた。
「ホームランを打てたことは嬉しい。ただあの2ランでは(同点まで)1点足りなかった。勝つことが出来なかった。それまでの打席でチャンスがあったのに、その時打つことが出来なかったことが悔しい」
「チームの勝利のために」
試合に敗れたため、ロッカールーム横の通路でメディア対応を行った際のポランコのテンションは終始低かった。FOR THE TEAMの精神。チームの勝利のために尽くす。献身的なプレーは彼の一番の魅力だ。
そんな男の原点は、母国・ドミニカ共和国にある。首都サントドミンゴ北部の街でポランコは6人兄弟の真ん中として育った。兄が2人。妹が3人。父も母も警察官だった。父は街をパトカーで巡回しパトロールし、母は警察署に勤務をしていた。
「両親は自分にとっての憧れだ。野球選手になっていなかったら、もちろん警察官を目指していたと思う」とポランコ。「大きな声では言えない話だけど、子供の時にパトカーに乗せてもらったこともあるよ」。そう言って、いたずらっぽい表情でクスクスと笑った。