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「やってるつもりでも足りなかった」カープ優勝への重要課題、5年目のドラ1・小園海斗は今季こそ殻を破れるか?
posted2023/07/31 11:00
text by
前原淳Jun Maehara
photograph by
JIJI PRESS
今年の広島ベンチには、周りを明るく元気にするひまわりのような監督がいる。ドラフト6位指名から名球会入りするまで真っすぐに成長し、指揮官となっても真っすぐな視線と姿勢で限られた戦力を最大限に生かして、優勝争いに加わっている。
ここまで経験ある選手を中心に白星を積み重ね、離脱者が相次いだ中盤は若手が徐々に出場機会を増やしてきた。育成は時間がかかると覚悟しながら、常に若手の台頭を待っていた新井貴浩監督は、シーズン最終盤に向けて1人でも多くの若手がアピールしてくれることに期待している。
若手の中でも、特に小園海斗を気に掛けていたように感じる。
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「置かれたところで咲く。その心意気を選手には持っていてほしいけど、俺たち指導者はそれではいけない。置く場所を変えたり、日照時間を考えたりしないといけない。正しい方向に向いていなければ、真っすぐ伸びていくようにする」
5年目の内野手が持つ能力の高さは誰もが認める。ただ、今季までなかなか殻を破り切れていないイメージがあった。その殻を破らせるのは首脳陣の役割。作戦同様に、育成も「選手任せ」にはしない。
5年目のドラ1
小園は2018年のドラフトで報徳学園から4球団競合の末、広島に入団。平成以降では球団初となる高卒新人野手の開幕一軍入りを果たした。1年目から58試合に出場し、打率.213、4本塁打、16打点、1盗塁の成績を残した。
2年目は苦しんだが、3年目には113試合5本塁打、35打点、4盗塁とすべてにおいてキャリアハイの成績を残した。4年目の昨季は遊撃のレギュラーとして自己最多127試合に出場し、オールスターゲームに選出された。