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「オオタニは移籍しない」複数メディアが報じたのに…“大谷翔平のトレード騒動”はなぜ米国で過熱した? 記者のホンネ解説「経済効果は想像以上」 

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笹田幸嗣

笹田幸嗣Koji Sasada

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posted2023/07/27 18:51

「オオタニは移籍しない」複数メディアが報じたのに…“大谷翔平のトレード騒動”はなぜ米国で過熱した? 記者のホンネ解説「経済効果は想像以上」<Number Web> photograph by JIJI PRESS

ベンチでチームメイトと談笑する大谷翔平。今夏のトレード騒動の内情を現地記者が解説する

エンゼルスが今季最後まで大谷を保有したい理由

 6月10日の時点で『大谷のトレードはない』と報道した地元紙ロサンゼルス・タイムズのディラン・ヘルナンデス記者も同様だった。

「チームのポストシーズン進出の有無に関わらず、エンゼルスは大谷を今季最終戦まで保有する方針を既に固めています。理由は大谷をトレードで放出してしまえば、シーズン後にフリーエージェントとなった際に再契約の可能性が消滅してしまうと考えているからです」

 それでもトレード騒動は沸き起こった。だが現実は、実現には程遠いレベルだった。

 夏の風物史、トレードデッドライン。期限が近づけば、全球団が他球団からの問い合わせに耳を傾ける。「トレードするつもりはないでのその話は聞かない」というGMはどこにもいない。この状態を「listening mode」と表現する。ビジネスライクな米国ならではの風習と感じるが、目的は自軍の保有する選手の「市場価値」を再確認することやその他の案件に関する情報収集のためでもある。

 確かにオールスター以降、エンゼルスは大谷に対する問いかけに耳を傾けた。しかし、彼らの方から大谷のトレードを問い合わせた事実はない。今回もエンゼルスに本気でトレードする気がないことを他球団は感じとった。それは一報を報じたバードゥッチ記者の記事からも想像できる。

「各球団は大谷について電話をかけ始めた。その交渉に詳しい情報筋によると、各球団はトッププロスペクトではなく、マイナーリーグの選手をオファーしていたという。これらの交渉は、何の勢いも生み出さなかった」

大谷が生み出す、巨額の経済効果

 エンゼルスの方針はボリンジャー記者やヘルナンデス記者が近しい関係者を直接取材した時点とまったく変わっていなかった。それを米国東部時間7月23日の時点で伝えたのが米国唯一の全国紙「USA TODAY」のナショナル・スポーツライター、ボブ・ナイチンゲール氏だった。

「エンゼルスは大谷をトレードするつもりはない。だが、誰もがアート・モレノオーナーの気が変わることを待ち続けている。モレノと親しい友人たちは、大谷をトレードに出すなんてどうかしていると口を揃え、トレードすればエンゼルスファンの憎悪を買うだけと言っている。もし、大谷がフリーエージェントで去るなら、それは選手の責任であり、トレードならばモレノの責任だ。

 大谷をトレードに出せばエンゼルスは多くの若手有望株を得るだろう。だが、有望株の才能がどんなに高くとも、大谷が持つ価値には到底及ばない。大谷はチケットの売り上げを除いても年間約2000万ドル(約28億円)を得ている。バックネット裏の日本の広告だけでも800万ドル(約11億2000万円)にもなる。1試合平均3万3535人の観客動員数もトレードとなれば1万人以上減少する可能性がある。結論からすれば大谷は残留する。しかし、29球団はエンゼルスが今週全ての試合に負け、大谷翔平を獲得できるチャンスが訪れることを願っている」

【次ページ】 エンゼルスが見せた“誠意”? 早速投手陣を補強

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