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「オオタニは移籍しない」複数メディアが報じたのに…“大谷翔平のトレード騒動”はなぜ米国で過熱した? 記者のホンネ解説「経済効果は想像以上」

posted2023/07/27 18:51

 
「オオタニは移籍しない」複数メディアが報じたのに…“大谷翔平のトレード騒動”はなぜ米国で過熱した? 記者のホンネ解説「経済効果は想像以上」<Number Web> photograph by JIJI PRESS

ベンチでチームメイトと談笑する大谷翔平。今夏のトレード騒動の内情を現地記者が解説する

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笹田幸嗣

笹田幸嗣Koji Sasada

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JIJI PRESS

「Shohei Ohtani is off the trade market」(大谷翔平がトレード市場から消えた)

 米国東部時間7月26日午後8時(日本時間27日午前9時)。米国のスポーツ専門誌「スポーツ・イラストレイテッド」の看板記者トム・バードゥッチ氏が報じた電子版の記事はあっという間に日米のメディアを駆け巡った。

 記事によれば、エンゼルスは大谷のトレードオファーを受け、2日間に渡り、協議を重ねた。その結果、同日午後遅くに『大谷はトレードしない』との最終決定を下したという。加えてチームは8月1日(同2日)のデッドラインへ向け、悲願のポストシーズン進出を目指し、先発投手と救援投手の補強に集中すると伝えた。

 米国で「ナショナル・スポーツライター」の肩書きを持つ記者は、MLB機構のお偉方、球団幹部、代理人を直接取材できる力量を持つ。その中でも名実ともにトップランクと評される同記者のスクープで騒動は鎮火した。

 そもそも、今回エンゼルスは本気で大谷のトレードを検討していたのであろうか。答えはほぼ間違いなく「NO」だった。

「ビジネスを考えれば、モレノは大谷を手放さない」

 7月8日。エンゼルスは5連敗で借金1として前半戦を終えた。6月27日の時点では7個あった貯金をすべて吐き出し、トレード騒動が再燃していた。この日、筆者は大リーグ公式サイトのエンゼルス担当、レット・ボリンジャー氏に話を聞いた。彼は「エンゼルスが大谷をトレードするつもりだと思っているのか?」と切り出し、こう続けた。

「オーナーのアート・モレノは彼をトレードするつもりはない。スポンサー、広告主、日本の視聴者及びインターネットアクセスなど、大谷がいることでありとあらゆるお金が彼らを潤している。これはみなさんが想像する以上のものだ。ビジネスを考えれば、モレノは彼を手放さない。これは大きな要素だ。大谷をトレードするとは思えないね。

 今、多くのメディアや関係者がその話をするのは理解できる。球界のどのチームだって彼が欲しいし、彼が別のチームでプレーすることを望んでいるファンが世界中に多くいることもわかる。だけど、オーナーの考えを理解していない人たちの意見にすぎない。みんな大谷がトレードされるかどうかを話したいだけなんだ。大谷がトレードされたら驚きだ。私は『ない』と思っている」

 ボリンジャー記者は興奮すると、早口で一気に捲し立てる癖がある。まさにこのときがそうだった。同時にオーナーもしくは近しい関係者を直接取材した自信が発言にみなぎっていた。

【次ページ】 大谷が生み出す、巨額の経済効果

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