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藤井聡太17歳「盤上の物語は不変」なぜ“藤井将棋”は心を打つのか…最年少名人で「温故知新」と記した“将棋愛と冒険心”〈21歳に〉 

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posted2023/07/19 11:05

藤井聡太17歳「盤上の物語は不変」なぜ“藤井将棋”は心を打つのか…最年少名人で「温故知新」と記した“将棋愛と冒険心”〈21歳に〉<Number Web> photograph by Keiji Ishikawa

21歳の誕生日を迎えた藤井聡太竜王・名人。将棋の深淵を目指す航海を日々続けている

 さらに対局で見せる真摯さとともに、「ぴよりん」や「コロコロしばちゃん」などかわいらしいおやつを頼んだり、豊富な語彙力で発信する姿もまた魅力の1つとして定着していった。

 その中でも藤井は日々、将棋への研鑽に励んでいる。冒頭の言葉は、2020年の王位奪取後の就位式で語ったもの。一意専心なその姿勢こそ、多くの人々が藤井将棋に魅了される本質なのだろう。

タイトル獲得の数字について問われると

<名言3>
タイトル獲得の数字については意識していることではないです。
(藤井聡太/Number1060号 2022年10月6日発売)

◇解説◇
 《2022年の藤井聡太》
 ・王将戦4勝0敗で奪取(19歳6カ月で最年少五冠)
 ・順位戦B級1組、10勝2敗でA級昇級
 ・叡王戦3連勝、棋聖戦3勝1敗、王位戦4勝1敗、竜王戦4勝2敗で防衛

 2022年、藤井はストレートでの初の王将位獲得に始まり、4つのタイトル戦を全て防衛を果たした。それも負けたら失冠となる“カド番”に追いつめられることなく、通算タイトル獲得回数を2ケタに到達させたのだから恐れ入る。しかし藤井本人の中ではタイトル期数などへのこだわりはない。不変なのは将棋に対する真摯な姿勢だ。

 例えば永瀬拓矢王座との棋聖戦を制して語ったコメントである。「第1、2局では作戦面で差をつけられてしまったように思ったので、第3局からはより入念に準備が必要だと思って臨みました」と語った対局は、藤井が角換わりに誘導する中での深い研究によって永瀬からリードを奪い、快勝を飾った。1局ごとに課題を見つけ、少しでも前へ進もうという姿勢が手に取るように分かる。

 その戦いぶりは、令和初の竜王・名人になり、タイトル戦で藤井と数々の名局を繰り広げた豊島将之九段に「藤井さんに明確な弱点はないと思うので、その時その時の自分の力が出せるように心がけています」と言わしめたほど。豊島、渡辺明九段、永瀬らを筆頭にトップ棋士たちが“こぞって藤井聡太を強くした”との表現も、大げさではないのだろう。

羽生との王将戦、渡辺との名人戦を経て

<名言4>
名人という言葉にふさわしい将棋を、という気持ちが一番強いです。
(藤井聡太/NumberWeb 2023年6月2日配信)

 https://number.bunshun.jp/articles/-/857691

◇解説◇
 《2023年の藤井聡太》
 ・王将戦4勝2敗で防衛
 ・順位戦A級7勝2敗、挑戦者決定戦の末に名人挑戦決定
 ・棋王戦3勝1敗で奪取(20歳8カ月で史上最年少六冠)
 ・NHK杯制覇で史上初となる22年度の一般棋戦(将棋日本シリーズ、銀河戦、朝日杯将棋オープン、NHK杯)グランドスラム達成
 ・叡王戦3勝1敗、棋聖戦3勝1敗で防衛
 ・名人戦4勝1敗で最年少名人、最年少七冠達成(20歳10カ月)

  2023年、藤井を巡るタイトル戦は話題続きだった。

【次ページ】 名人になって記した「温故知新」

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