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井上尚弥の対策は? その時、最強王者フルトンはなぜ“ニヤリ”と笑ったのか…“世紀の一戦”を前に激白「オレの方がより賢明なボクサーだ」
text by
杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph byL)Hiroaki Yamaguchi R)JIJI PRESS
posted2023/06/30 11:03
井上尚弥との対戦まで1カ月を切った今、フルトンは何を語ったのか。井上の負傷によって“延期”となったことにも言及した
SF 井上が相手とはわからなかったけど、日本で試合をすることはわかっていた。デジャヴみたいな感じで、未来の映像が浮かぶことがある。今回もそんな感じだった。だから(2021年1月の)アンジェロ・レオ(アメリカ)との試合が終わった後には、もうトレーナーに「俺は日本で井上と戦うよ」と伝えてあった。そこでトレーナーには「なんでお前が日本に行くんだ? 彼に来させればいいだろ?」と言われたけど、俺は「向こうで戦った方がより大きなイベントになるから」と答えたんだ。
――日本での試合の方が報酬も大幅に大きくなりますね。
SF その点を話し合うまでもなかったよ。日本でやった方がすべての面で大きくなる。これまでのキャリアでやり遂げたことが、ここで10倍くらいに大きくなる。この話が持ち上がったときに、それについてはもうわかっていた。
――井上戦を実現させるため、PBC(プレミア・ボクシング・チャンピオンズ)のアル・ヘイモン、マネージャーのルイス・デキューバスに自ら掛け合ったというのは事実でしょうか?
SF 井上がスーパーバンタム級に上げると決めた後、そうしたよ。
「俺の方がより賢明なボクサー」
―― 一度は5月7日に決まった試合は、井上選手のケガで7月25日に延期になりました。スーパーバンタム級の体重調整は容易ではないと思いますが、そこでのキャンセルは考えなかったのでしょうか?
SF 最初は“待つべきなのか?”とも考えたけど、結局は(スーパーバンタム級に)残ることにした。ところで井上のケガの箇所はどこだっけ?
――練習中に拳をケガしたということです。ここで井上選手のことを話してほしいのですが、あなたから見て“モンスター”の強みはどこにあるのでしょう?
SF 俺から見て? それとも一般的な見方? (一般的には)彼はパワーの素晴らしさで知られている。俺との対戦でも、その部分が鍵となり、重要な要素になるのだろう。あとはパンチのタイミングの良さだな。パワーだけではなく、タイミング、パンチをどこに打つかが大切になるものだ。
――あなたの方が井上選手を上回っていると感じるのはどういったところでしょうか?
SF 俺の方がより賢明なボクサーだと思っている。また、俺はこれまでもう何度も試練を味わってきたし、激しい戦いも経験してきた。井上(が苦戦したの)はノニト・ドネア(フィリピン)との第1戦くらいだろう。他に彼が苦しんだ試合は思い出せない。俺の方が速いと思っているし、(上回っている部分は)他にもたくさんある。結論を言うと、俺の方がより厳しい戦いの中で試されてきたボクサーだということだ。